閣僚に在任中は、大規模なパーティーの開催は自粛するとの取り決めを初閣議でしたのに、片山さつき財務・金融担当相は高市早苗内閣の発足からわずか1カ月余で、大規模パーティーを開いています。片山氏のあきれた答弁を見てみました。(矢野昌弘)
(写真)片山氏が政治資金パーティーを開いたホテル=1日、東京都港区
「この規範を必ずお読みいただき、政治と行政への国民の信頼を確保するため、これを順守されるようお願いします」
10月21日、高市内閣の初閣議で木原稔官房長官はこう呼びかけました。「規範」とは「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」のこと。政治資金パーティーについては、「国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する」ことを取り決めています。
所管業界に販売?
この初閣議に、財務・金融担当相の片山氏ももちろん出席。木原氏の話を聞いていたはずです。
ところが今月1日、片山氏は東京都港区のホテルで「2025参議院議員 片山さつき政経セミナー」を開きました。片山氏の説明によると「約800人」が参加。初閣議からわずか41日で「規範」は破られました。
4日の参院財政金融委員会で、日本共産党の小池晃参院議員から規範破りを追及された片山氏。「毎年、この時期に定期的に行っておりますので」「私が大臣に就任する前に、毎年やっておりますので」などと繰り返しました。
「規範」についての認識を問われると、「関係する業界との間で、その関係が何らかのことになるというような疑惑があるといけないから、そうならないよう自分で判断して努力してくださいというのが、その規範だと思います」と答弁しました。「規範」への認識の軽さが透けて見えます。
片山氏は財務省出身。国会議員に当選後も自民党金融調査会で会長を務めるなど、金融業界と関係を築いてきました。
1日にあった片山氏のパーティー会場には、受付に「銀行業界受付 証券業界受付 保険業界受付」と掲示していました。
これら業界は、財相・金融担当相の所管です。業界関係者にパーティー券を購入してもらうことも、「規範」に抵触する疑いがあります。「規範」は「(職務に関連して贈物や便宜供与を受けるなど)国民の疑惑を招くような行為をしてはならない」としているためです。
「政治とカネ」軽視
金融業界向けの受付について、片山氏はパーティー代金を「合意解約」するためだったとのべ、「当日、入場している方はいないはず」と答えました。
しかし、「銀行業界受付」などと書いた表示が「合意解約」をするための場とは考えづらい。本紙の現場取材では、来場者が「合意解約」する場面も見かけませんでした。
片山氏の姿勢は、高市首相が「そんなことより定数削減」と述べるなど、政治とカネの問題を軽視する高市内閣を象徴するものと言えます。

