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2025年12月16日

主張

議員自動削減法案
悪法は廃案に きっぱり断念を

 自民党と日本維新の会が衆院に提出した衆院議員定数「自動削減」法案が批判の高まりを受け、審議入りもできないまま臨時国会の閉幕を迎えようとしています。会期延長や継続審議をねらう動きが報じられていますが、とんでもないことです。前代未聞の拙劣な手法で議会制民主主義をじゅうりんする法案はきっぱりと廃案にするべきです。

■突然持ち出された

 もともとこの法案を国会に提出したこと自体が大間違いでした。

 臨時国会で取り組むべきは、裏金問題の解明と金権・腐敗問題の根源にある企業・団体献金の禁止でした。それを「政権合意」でタナ上げした自民党と維新は国民の批判をそらすため、議員削減をあたかも「身を切る改革」であるかのように偽って、突然持ち出したのです。

 しかし、なぜ議員の削減が必要か、まったく根拠を示せません。日本の国会議員の数は人口比で、経済協力開発機構(OECD)38カ国中36位と最低クラスです。国会と国民を結ぶ議員をさらに削減するのは、国会に届けるべき多様な民意を切り捨てるものであり、政府を監視し、政権の暴走を止める機能を弱めるという点でも重大です。議員削減は、自民・維新政権が悪政を推進する突破口というべきものです。

 さらに大きな批判を浴びたのが、各党協議で1年議論しても結論がでない場合、比例20、小選挙区25を自動削減する仕組みです。まさに国会での議論そのものを否定する前代未聞の法案でした。

 日本共産党、立憲民主、国民民主、れいわなど野党6党・会派の国対委員長は8日、「削減」法案について、「受け入れられない」との認識で一致しました。

 また、与党が「削減」法案を政治改革特別委員会で早く審議するように求めていることにたいし、すでに審議中の企業・団体献金を規制する法案の審議を優先してすすめ、「削減」法案の審議入りを認めないことを確認、定数の問題は選挙制度と一体であり、選挙制度協議会で議論すべきだとしました。

■批判の声が広がる

 さすがに自民党内からも異論が続出しました。「拙速で乱暴」(岩屋毅前外相)、「主権者の代表は少ない方が良いという考えは間違っていないか」(石破茂前首相)と批判の声が広がったのも当然です。

 新聞各社も社説で、「理屈も手順もでたらめだ」(「毎日」)、「乱暴な『結論ありき』というほかない」(「朝日」)、「憲政の常道に反する暴論。立法府の権威を貶(おとし)める」(「読売」)、「これほど党利党略を優先した法案も珍しい」(「日経」)とそろって厳しく批判しています。

 しかし、維新は「最終最後まで成立をめざす」(藤田文武共同代表、11日)、「結論が出るまで延長すべきだ」(吉村洋文代表、12日)と執着し、自民党内では来年の通常国会での成立をねらい継続審議にしようとする動きも強まっています。

 議会制民主主義を否定する「自動削減」法案はきっぱりと廃案にし、自民・維新はこうした企てを断念すべきです。