戦後80年の今年、先の侵略戦争と植民地支配にどう向き合うのか―。今日の世界とアジアの平和を実現してゆく外交姿勢の根本問題として、日本の政党に問われてきました。各党は、「戦後80年談話」を発表していますが、与党をはじめ侵略戦争だったと認めない党が少なくありません。侵略戦争を再び許さないという戦後国際社会の出発の原点からかけ離れた歴史認識を持つ日本の深刻な政党状況を浮き彫りにしています。
与党に共通している特徴は、「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」(自民党)、「悲惨な経験を自らの経験の如(ごと)く丁寧に継承し」(日本維新の会)など抽象的には平和の言辞を並べながら、先の戦争が侵略戦争であるという認識も反省もない、ということです。
■公然と侵略美化も
「歴史の教訓を胸に時代と真摯(しんし)に向き合い、毅然(きぜん)とした外交・安全保障によって、平和の永続」(自民党)に尽力するなどといいますが、肝心の「歴史の教訓」がなんであるのか、まったく語られません。「毅然とした外交・安全保障」のもとで、「台湾有事」を「存立危機事態になりうる」(高市早苗首相)などと緊張をあおっているのが実態です。
一方で、「戦後80年にわたって平和国家としての姿勢を貫き」などと描いています。日本を「平和国家」というなら、それは憲法9条と国民の平和意識、運動によって守られてきたのであり、逆に自民党がすすめたのは、ベトナム侵略戦争など米国の戦争への協力と軍事同盟の強化でした。
「戦後80年談話」で重大なのは、政党としての公式表明で侵略戦争を公然と美化する党が現れたということです。
参政党は談話で「大東亜戦争」という宣戦布告直後に東条英機内閣が閣議決定した戦争呼称を使用し、「散華された英霊」に「心から哀悼と感謝」を捧(ささ)げるとし、侵略戦争を美化しています。
保守党は「アジア諸国を侵略したとする論があるが、これも正確ではない」と侵略戦争であった事実を正面から否定、「日本軍の戦いによってアジア諸国の独立が進んだ」と歴史をゆがめています。
実際は日本が、「帝国領土」の拡大(大東亜政略指導大綱)を求めて戦火を拡大し、アジア・太平洋各国に2千万人以上の死者をふくむ史上最大の惨害をもたらした侵略戦争そのものでした。だからサンフランシスコ講和会議でも、アジア諸国から非難こそされ、感謝した国などありません。
■命がけで闘った党
日本共産党は田村智子委員長が「侵略戦争と植民地支配の歴史を国民共通の認識とし、未来に継承しなければなりません」との談話を発表しました。現在の政党のなかで先の侵略戦争当時、存在していたのは日本共産党だけです。植民地支配、侵略戦争に反対し命がけで闘いました。
「他のすべての政党が侵略と戦争、反動の流れに合流するなかで、日本共産党が平和と民主主義の旗を掲げて不屈にたたかい続けたことは、日本の平和と民主主義の事業にとって不滅の意義をもった」(綱領)のです。戦後80年談話にもそれが受け継がれています。

