(写真)医療をめぐる情勢と党、「資本論」を語る小池氏=11日、千葉県船橋市
千葉県船橋市で11日、医療・介護職場の日本共産党後援会が「くらしと医療の未来を語る」つどいを開き、小池晃書記局長が「資本論と医療について」講演しました。
小池氏は危機的な病院経営について、物価高と国の社会保障費抑制政策で7割近い病院が赤字に苦しんでいる厳しい状況を乗り越えるためには、「社会保障は経済」という観点から将来を見通し、税金の集め方、使い方を抜本的に改め、診療報酬を引き上げる必要があると訴えました。
特に「高齢化」を理由に医療費を抑制しようとする政府の欺瞞(ぎまん)を明確に批判。労働力人口と総人口の比率である「労働力人口扶養比率」をみると、2012年と2050年を比較しても、総人口は減少し、はたらく高齢者が増えるため、負担の程度はほとんど変化しない事実を指摘しました。
ケア労働にかかわって小池氏は、マルクスが『資本論』で労働者の健康と寿命を守る「社会的バリケード」(社会的ルールづくり)を力説していることを詳しく語りました。そもそも医療機関の収入の大部分が診療報酬(公定価格)で決まっているのは、すべての人に平等に医療を保障するしくみを要求してきた19世紀以来の労働運動・国民運動の成果であることを強調。
また、資本主義社会では医療・介護・福祉などのケア労働に従事する労働者と、医療機関や事業所との関係は、経済学では“搾取と被搾取の関係”といえるとのべつつも、資本家階級の上層部(財界・大企業)とその利益を代弁する国家から「搾取強化」を受けていると指摘。国と財界が一体になって、大企業の利潤を社会保険料や法人税として社会全体のために活用せず、診療報酬を抑制しようとする「総資本による『搾取強化』」にケア労働者と医療機関・介護事業所は苦しんでいるとのべました。
こうして社会保障の充実を求めるたたかいは、大企業の剰余価値・利潤をめぐる階級闘争となり、自らの生活と健康を守るだけでなく、労働者の命と健康を守る「社会的バリケード」を強固にしていくたたかいでもあることを『資本論』が現代のケア労働者に呼びかけていると訴え。医療を守るたたかいも、資本家階級とのたたかいであることを明らかにしました。
会場の参加者からは、医療現場の厳しい現実が語られ、「私たちはこういう現場で働いていて、だまっていることはできない」「社会的バリケードづくりを実践していきたい」といった意見がだされ、活発な感想交流が行われました。

