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2025年12月12日

主張

米の国家安保戦略
日本へのあまりに露骨な恫喝

 あまりにも露骨な恫喝(どうかつ)です。米国のトランプ政権が公表した「国家安全保障戦略(NSS)」が、日本に対し、軍事費を大幅に増額するよう要求しました。これを受け、ヘグセス米国防長官は、日本などを念頭に、軍事費増が不十分な同盟国は「報い」を受けると公言しています。

 高市早苗政権は「防衛力の強化は日本としてすでに主体的に進めている」とし、米国からの圧力の影響を打ち消すのに躍起ですが、自ら進んで米国言いなりに大軍拡に突き進んでいるのが実態です。

 先月策定されたNSSは、第2次トランプ政権初の包括的な安全保障政策です。

■軍事費大幅増要求

 インド太平洋地域を「主要な経済的・地政学的な戦場」と位置付け、中国に対抗して「軍事力の優位性を維持することにより、台湾をめぐる紛争を抑止することが優先事項だ」と述べています。

 そのために必要な軍事力を、南西諸島と台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に構築することは、米国単独ではできないし、そうすべきでもないと強調。第1列島線の同盟国・友好国に対し▽米軍による港湾やその他の施設の利用拡大▽自国の軍事費のいっそうの増額▽「侵攻」抑止を目的にした能力への投資―を迫るべきだとしています。

 その上で、トランプ大統領が強く求めていることとして「敵対勢力を抑止し、第1列島線を守るのに必要な能力(新たな能力を含む)に重点を置いて、日本と韓国に防衛支出の増額を促さなければならない」と名指しで圧力をかけています。

 高市政権による軍事費の国内総生産(GDP)比2%目標の達成前倒し、他国本土への攻撃が可能な長射程ミサイルの配備加速、「台湾有事は存立危機事態になり得る」との首相の発言などが、トランプ政権の対中国軍事戦略に基づいているのは明らかです。「日本防衛」とは無縁です。

■米言いなり転換を

 ヘグセス国防長官が今月6日にカリフォルニア州で行った演説もあからさまです。

 トランプ氏のリーダーシップで、北大西洋条約機構(NATO)が防衛支出にGDPの5%(3・5%を中核的な軍事費、1・5%を安全保障関連投資)を充てることを決めたと指摘。世界中の同盟国にこの基準を満たすよう圧力をかけており、韓国は先月、GDPの3・5%を中核的な軍事費に支出することを約束したと称賛しました。

 その上で、日本などを念頭に「インド太平洋地域の他の同盟国もこれに追随すると楽観している」とし、「数年後には、再び戦闘能力を備えた軍隊を擁するようになる」と指摘。一方で「集団防衛の役割を果たさない同盟国は報いを受ける」「ただ乗りは許さない」と脅しをかけました。

 高市政権は、軍事費のGDP比2%目標を示した安保3文書を来年改定する方針です。GDP比3・5%を目標にすることも否定していません。日本のGDPの3・5%は22兆円に上り、今年度当初の軍事費の2・5倍です。日本の財政も国民の暮らしも破壊してしまいます。米国言いなりの政治の転換が急務です。