23年度から2兆3736億円
2025年度補正予算案が11日、衆院本会議で与党の自民・維新に加え、国民民主・公明各党の賛成で可決されました。同補正予算案に歳入として計上された国債のうち、2796億円が軍事費に割り当てられていることが、財務省が公表した予算関連資料で分かりました。23年度当初予算で軍事費を国債の対象にして以来、累計は2兆3736億円に達しました。
同資料によると、(1)防衛省や自衛隊の施設整備費(2)艦船(潜水艦、イージス・システム搭載艦)の建造費―が国債の対象です。自衛隊の施設整備には、国土の戦場化を想定し、核攻撃にも耐えうる基地の強靱(きょうじん)化も含まれています。
政府は22年12月に閣議決定した安保3文書で、軍事費を従来の国内総生産(GDP)比1%(約5・5兆円)から、一気に2%(約11兆円)まで拡大する方針を決めました。すべての同盟国にGDP比2%以上の軍事費を求めた米国の要求に基づくものです。
政府は財源の一つとして「建設国債」の流用を決定。23年度に4343億円分を対象にし、その後、年を追って拡大してきました。(表)
財政法第4条1項は原則として赤字国債を禁じる一方、ただし書きで、公共事業費の不足分について、国会が議決した範囲内で「建設国債」の発行が認められています。しかし、歴代政府は「防衛費は消耗的な性格を持つ」として、防衛省を対象から除外してきました。その背景には、戦時国債を乱発して侵略戦争を推進し、国家財政を破綻に導いた戦前の反省もありました。
ところが、政府は各省庁の施設や海上保安庁などの船艇が「建設国債」の対象になっていることを悪用して、施設建設や艦船の建造費を対象にしたのです。
しかも、トランプ米政権は同盟国に対し、軍事費をさらにGDP比3・5%以上に引き上げるよう要求。これに応えるため、政府・与党内では「建設国債」の悪用ではなく、文字通りの「防衛(軍事)国債」導入論も浮上しています。
国債は国民からの借金であり、利子をつけて返済しなければなりません。金利は上昇傾向にあります。米国の要求に応えるため、将来世代に財政リスクを背負わせることは許されません。参院で徹底審議が求められます。

