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2025年12月11日

「未来に危険」道庁包囲

泊原発再稼働 知事同意に語気強く

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(写真)「再稼働反対」とアピールする参加者=10日、札幌市

 北海道電力泊原発3号機再稼働への鈴木直道知事の同意表明を巡って10日、反対する道民、市民ら220人が道庁前を包囲し、抗議の声を響かせました。

はたやま氏連帯

 参加者は「原発いらない」「泊原発を廃炉に」などの横断幕やプラカードを手に、次々とスピーチ。十勝地方から16人で駆け付けた男性は「十勝は1000~2000%の食料自給率。原発事故が起きたら農産物が汚染され、日本全体の問題です」と訴えました。

 福島から避難してきた女性は「経産省と規制委員会が何度も『福島を教訓に』と説明しているが、それが単なる枕言葉になっていることが悔しい」と語りました。

 日本共産党の、はたやま和也元衆院議員と党道議団が連帯スピーチ。はたやま氏は、活断層など原発の安全性の問題や知事の道民意見を聞く姿勢、核ごみ問題について指摘し「将来にわたり危険をさらす道に、一緒に反対していきます」と力を込めました。真下紀子、丸山はるみ両道議も「原発再稼働反対を実現させるために全力を尽くす」と決意を表明しました。

 行動に参加したAさん(76)=音更町=は「避難計画もずさんで、再稼働はあり得ない。子どもや孫たちに残すなんて、もっての外だ」と語気を強め、道議会傍聴へ向かいました。

沖合に活断層 自然エネこそ

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 「自然エネルギーと泊原発を考える市民の会」(通称Shut)代表・札幌学院大学の川原茂雄教授の話 鈴木直道知事は「道民の声を聞いて総合的に判断」と話していました。私は札幌の説明会に参加しましたが、原発推進の説明はあっても、事故対策など参加者の疑問や不安には十分答えず、説明会後すぐ再稼働を容認する立場を表明しました。知事として道民の声を聞く姿勢がありません。

 北海道電は原発を動かせば電気料金を値下げすると言って世論を誘導していますが、今後予定している燃料搬入用の新港や専用道路の建設や維持、減価償却のコストがかかってきます。

 日本は地震大国で、8日にも青森県東方沖で地震がありました。泊原発の沖合にも海底活断層があると専門家が指摘しています。このような危険のある原発の再稼働を認める知事のやり方は許せません。

 北海道には自然エネルギーのポテンシャルがあります。北海道電は原発をやめ、北海道の可能性を生かした事業に転換すべきです。

過酷事故「ゼロでない」

 北海道の鈴木直道知事による泊原発の再稼働への同意は、専門家による警告などを顧みないものです。

 道や北海道電力が各地で行った説明会では不安や危険性を指摘する声が相次ぎ、道議会では日本共産党道議団が繰り返し追及。道議会の連合審査では、真下紀子道議の質問に対し、原子力規制庁の担当者は過酷事故のリスクについて「ゼロではない」と答弁しています。

 同原発や規制委員会の審査の問題点を告発してきた「行動する市民科学者の会・北海道」の小野有五事務局長(北海道大学名誉教授、自然地理学)らは、敷地内の断層が活断層である可能性や、原発がある積丹半島の西方沖に長さ70キロの海底活断層の存在を指摘。また、原子炉建屋を除く重要施設が埋め立て地の上にあり、液状化による被害があることも告発しています。

 小野氏は、審査の過程で北海道電を規制委が指導する特別な対応がされたとし、「まるで教員が生徒に答えを示しながら試験を受けさせるようなもの」と厳しく批判しています。

 知事が正式に再稼働同意を表明した10日にも、道庁前で抗議行動が行われました。国、知事、北海道電はもう一度、道民の声に耳を傾けるべきです。