【ワシントン=柴田菜央】米南部フロリダ州マイアミで9日に行われた市長選の決選投票で、民主党のアイリーン・ヒギンス氏(61)の当選が確実となりました。同市で民主党の市長が誕生するのは1997年以来、約30年ぶり。同州は共和党の地盤ですが、トランプ米大統領の支援を受けた共和党のエミリオ・ゴンザレス氏(68)を破りました。
ヒスパニック(中南米系)住民が多い同市で、非ヒスパニック市長が誕生するのも90年代以来です。ヒギンス氏はマイアミ市で初の女性市長となります。米メディアによると、ヒギンス氏の得票率は59%、ゴンザレス氏は41%でした。
ヒギンス氏は声明で「われわれは何年もの無秩序と腐敗のページをめくった。市民に真の成果をもたらす道徳的で責任ある指導力を持つ新時代へと扉を開いた」と述べました。
ヒギンス氏はマイアミ市のあるマイアミ・デイド郡の元郡政委員。選挙戦では、手ごろな価格の住宅の増設やインフラ整備、汚職腐敗の一掃などを訴えました。
フロリダ州にはトランプ大統領の邸宅があり、共和党の強固な地盤州です。来年秋に中間選挙を控えるなか、マイアミ市長選はトランプ政権に対する有権者の動向をある程度示す選挙として注目されていました。
現地紙によると、昨年の大統領選では、マイアミでも全米と同様に、伝統的に民主党支持が多い中南米系有権者の多くがトランプ氏の支持に回りました。しかし今回はトランプ氏のてこ入れにもかかわらず、ゴンザレス氏への支持は十分に広がりませんでした。
米メディアは、市長選結果について「民主党はトランプ氏と共和党に対する不満の上昇の表れだとみている」と伝えました。民主党は、11月にはニュージャージー、バージニア両州の州知事選やニューヨーク市長選で勝利しています。
マイアミ市長選は11月4日に行われましたが、1位となったヒギンス氏の得票率は36%で当選に必要な過半数に届かなかったため、決選投票となっていました。

