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2025年12月11日

暮らしに痛み 大軍拡に巨費

田村貴昭議員 補正予算案質疑

 日本共産党の田村貴昭議員は10日の衆院予算委員会で、高市政権の補正予算案と経済対策の問題点を追及しました。OTC類似薬の保険適用除外や生活保護費の新たな減額処分など暮らしに痛みを押しつける一方で、米国の求めに応じ大軍拡には巨費をつぎこみ「軍拡増税」でさらなる国民負担を強いる高市政権の危険性が浮き彫りになりました。

OTC類似薬の保険外し
患者負担の激増強いる

写真

(写真)質問する田村貴昭議員=10日、衆院予算委

 田村氏は、市販薬と同様の効能を持つ医療用医薬品(OTC類似薬)の保険適用除外は患者の自己負担を増やすと強調し、保険外しをやめるよう求めました。

 高市自維政権は11月に閣議決定した「総合経済対策」にOTC類似薬の保険外しを盛りこみ、今年度中に制度設計を実現すると明記しました。

 田村氏は「OTC類似薬の保険給付をやめれば、皮膚疾患や難病の患者、治療中の子育て世帯をはじめ、多くの国民に負担増をもたらす」と強調し、厚生労働省の資料でも保険外しすれば、ドラッグストアで市販薬を購入した場合、自己負担が8~35倍に増えると指摘。高市首相は、薬剤を保険給付の対象外とせず、医療用医薬品を用いる前提の見直しを行う場合、患者負担が数十倍になるとは想定しにくいと述べました。

表

 日本維新の会の議員はこの間、国会で原則として保険外しを繰り返し主張しています。維新が4日、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しとして「まずは総額で数千億円規模の医療給付の削減」を高市首相に申し入れたことについて、田村氏は「数千億円規模の医療給付費削減を目標に与党協議を行っているのか」とただしました。高市首相は、与党で見直しを検討中としつつも、政府として子どもや慢性疾患を抱える人、低所得者の患者に配慮すると答弁。田村氏は数千億円の医療給付の削減をしながら、「配慮すると断言できるか」と追及し、「矛盾している」と批判しました。

 田村氏は、「小学4年生の息子がアトピー性皮膚炎で保険から外されると自己負担が月2万円程度に上がると聞いた。不安で仕方がない」「病気でも生きていける未来を残してください」など切実な声を紹介。高市首相が11月7日の同委の高額療養費に関する質問で、自身も難病患者だとし、高額な薬剤を打ち続けなければいけないのかと絶望的な気持ちになったと答弁したことに触れ、「保険外しをすると首相がつらいと感じた絶望感を多くの国民に与えることになる。OTC類似薬の保険給付外しはやめるべきだ」と強く求めました。

 高市首相は、“現役世代の保険料負担軽減”と子どもや慢性疾患を抱えている人、低所得の患者負担への配慮を両立させることが重要だと答弁。田村氏は「社会保障費の抑制や医療費の削減が基本にあるから間違ったことになる」と厳しく批判しました。

生活保護費 新たな引き下げ
最高裁判決 無視の無法

 国による2013~15年の生活保護基準の大幅減額を違法とした最高裁判決をめぐり、田村氏は、高市政権が新たな減額を行い、補正予算で本来補償すべき削減分3000億円を1475億円に引き下げようとしていると批判しました。

 田村氏は原告・弁護団の怒りの声とともに、法学研究者が8日発表した緊急声明を紹介。再度減額を行う国の対応策は「司法判断に従わない違法・違憲のもの」で「日本が法治国家であり続けることを破壊する」と告発していると指摘し、同声明の「直ちに最高裁判決に従い、すべての生活保護利用者に引き下げ以前の基準に従った保護を実施するよう求める」との指摘をどう受け止めるかとただしました。

 高市首相は声明を「反対する意見と受けとめる」などと述べ、政府判断は「最高裁判決の趣旨、内容、生活保護法の規定を踏まえた対応だ」と開き直りました。

 田村氏は、最高裁判決は、生活保護基準引き下げの決定全体を違法と判断したものだと強調。判決に反して再減額を行う国の対応に、生活保護利用者から裁判に訴えるとの声が相次いでいるとして、敗訴当事者の国が「紛争を蒸し返し、無限に争うつもりか」と追及しました。

 高市首相が「引き下げ判断自体は、最高裁判決で違法とされていない」などと強弁したのに対し、田村氏は、最高裁は明確に国の違法行為を認めていると反論。「食事を節約し1日に1食、夏の暑い日でもシャワーを我慢しエアコンもつけられない」など生活保護利用者の窮状を突きつけ、「原告に謝罪をし、和解のための話し合いを進めるべきだ」と迫りました。

 高市首相は、追加給付を行う結果に至ったことは「深く反省する」としつつ、直接の謝罪を拒否。田村氏は、政府の対応により困窮状態に置かれた生活保護利用者に「政府として謝罪し、取り上げた保護費を元に返すことが当たり前だ」と強調しました。

米国の要求に従い軍拡増税
国民生活の破綻を招く

グラフ

 政府は安保3文書に基づき5年で43兆円もの軍拡を進め、軍事費はこの3年間で3・4兆円も増加しています。田村氏は、さらなる軍事費増の財源として所得税増税などの議論を自民党が開始したことに触れ、「高市政権は軍拡増税を目指すのか」と追及。高市首相は「与党の議論を踏まえ対応する」と述べ、軍拡増税を進める意向を示しました。田村氏は、軍拡増税は期間を定めない恒久措置になると指摘し「なりふり構わぬ大軍拡は絶対に認められない」と批判しました。

 軍拡増税に踏み出した背景に何があるのか―。田村氏は、トランプ米政権が新たな安全保障政策の指針「国家安全保障戦略(NSS)」を公表し、同盟国に対し国内総生産(GDP)比で大幅な軍事費増額を要求し、とりわけ対中国戦略で日本を名指しし、「敵を抑止するために必要な新たな能力に焦点を当てた軍事支出の増加を強く迫らなければならない」と明記していると指摘。首相の掲げる今年度中の軍事費のGDP比2%達成は米国の要求に応じるためだと迫りました。

 さらに、ヘグセス米国防長官が米国内での講演(6日)で軍事費のGDP比3・5%達成目標について「トランプ大統領の設定した新たな国際基準であり、これを満たすよう世界中の同盟国に働きかけている」と述べ、日本などを念頭に「他のインド太平洋地域の同盟国も数年以内に追随するだろう」と明言したと指摘。安保3文書の改定に際し、トランプ大統領の「新基準」に従って軍事費のGDP比3・5%への増額目標を掲げるのかとただしました。

 首相は「防衛費の水準はわが国の主体的な判断のもと議論を積み上げていく」と答弁。田村氏は、補正予算案の軍事費8472億円のうち、馬毛島基地(鹿児島県西之表市)建設に2751億円、米軍辺野古新基地(沖縄県名護市)建設に534億円など米軍再編経費に最も多く計上している事実を突きつけ「主体的判断ではなく、米国言いなりだ」と批判しました。

 田村氏はGDP比3・5%に増額すれば、医療・介護・生活保護予算の18兆円さえも大きく上回る約21兆円もの途方もない予算規模となり「国民の暮らしも、物価高騰対策も吹き飛ぶ」と指摘し、米国追従の大軍拡の中止を強く求めました。