スパイ防止法案が国会に提出され、制定への危険な動きが強まっています。急いで反対世論を高め、この悪法を“芽”のうちに葬り去ることが求められます。
参政党は先月、罰則付きのスパイ防止関連2法案を参院に提出、つづいて国民民主党もスパイ防止・インテリジェンス(情報の収集・分析・活用)機能を強化する法案を衆院に提出しました。
■反動ブロック連携
自民党と日本維新の会は政権合意でスパイ防止法を「令和7(2025)年に検討を開始し、速やかに法案を制定、成立」と明記しています。
党首討論で高市早苗首相は、スパイ防止法の制定を求める神谷宗幣参政党代表に応え、「今年検討を開始し、速やかに法案を策定することを考えている」と応じました。
これらの党が推進しているスパイ防止法は、「戦争する国」づくりと一体に、外国勢力の脅威をあおり、スパイの取り締まりを口実にすべての市民を監視し、報道の自由を奪い、人権と民主主義をじゅうりんするものです。
参政党の防諜(ぼうちょう)法案要綱では防諜の対象を「安全保障に支障を与えるおそれがあるもの」と無限定に広げうるものにし、地方公共団体にも防諜措置を義務づけています。国民民主の法案要綱ではインテリジェンスを「国家の存立に関わる重要な課題」と強調し、その防護のために「国民の自由と権利に制限が加えられる場合」があることを当然視しています。
神谷氏は法案提出について「スパイ防止法をつくっていこうという提案」と位置づけ、国民民主の山田吉彦安保調査会長は「提出した法案が各党協議のスタートになる」とのべました。
「各党と意見交換したい」としていた維新の藤田文武共同代表は、議員定数「自動削減」法案の成立への協力を求めて神谷氏と会談、神谷氏は協力する条件としてスパイ防止法と国旗損壊罪の制定への協力を求め、「非常に前向きな会談」(藤田氏)になったと“共鳴”しあっています。
これらの党は、スパイ防止法制定の“先陣争い”をしながら、法案の内容の調整や一本化も含め、連携を強めているのが目立ちます。まさに「反動ブロック形成の危険」が現実のものになっています。
■反対の声を広げて
一方で、1980年代にスパイ防止法が「治安維持法の再来」と厳しい批判を受けて廃案になったことを意識し、提出された法案の「基本理念」では「憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならない」などとごまかそうとしているのも特徴です。
しかし、市民を監視・抑圧する本質はいささかもかわりません。逆にこんな弁明をせざるをえないこと自体いかに市民の自由を侵す危険な法であるかを告白するものです。
「懸念されるのは、警察当局などによる市民への監視の網が広がること」(「毎日」社説)、「民主主義の土台が崩される」(「信濃毎日」社説)などスパイ防止法に反対する声が広がっています。民主主義を守る一点での幅広い共同をつくり、スパイ防止法の企てを打ち砕きましょう。

