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2025年12月11日

きょうの潮流

 大分市佐賀関地区の大規模火災で浮き彫りになったのが、延焼被害を広げた空き家問題です▼総務省の最新調査(2023年現在)によると、総住宅数のうち空き家は過去最多の約900万戸になります。5年前に比べて50万戸も増えました。都道府県別の空き家率は徳島、和歌山、鹿児島、山梨、高知が続きます。空き家対策は防火・防災の観点から全国的に解決が求められる課題です▼先日、移住先として人気の高い長野県を訪ね、自治体が運営する空き家バンクを利用して何軒か見て回りました。多くは、親・親族が死亡したので住居を処分したいと登録したものです▼伊那市の850万円の物件は、持ち主が4年前に施設で亡くなり、千葉県に住む弟が年に数回訪ね、見回りをしているといいます。家庭菜園を楽しみにしていたらしく、草ぼうぼうの畑に黒マルチが見え隠れしていました。家の中は、昭和を感じさせる食器棚や立派な洋服タンスがそのままに。家財を廃棄するにも百万円単位のお金が必要だと▼長年の「持ち家政策」のもと労働者も資産が持てるとの喧伝(けんでん)によって、高いローンを支払って得たマイホームという不動産。今では負債を意味する負動産です▼賃貸・売却用にならず、長期不在や取り壊し予定を意味する「その他の住宅」は385万戸もあります。住宅の確保は人権であり、国の責任です。国の支援で行政がこれらの空き家を借り上げ、災害被災者や住宅困窮者に低家賃で提供するなど政策転換が必要な時代です。