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2025年12月10日

主張

ラピダス巨額支援
青天井の政府の支出をやめよ

 北海道千歳市で次世代半導体の量産をめざすラピダスへの青天井の政府支援が止まりません。政府は11月21日、今年度中に1千億円を出資すると発表しました。これに加えて、2026年度に1500億円以上の出資、27~28年度には生産設備などの現物出資を予定しています。

 政府はこれまで、ラピダスに対し1・7兆円の支援を決めていますが、26年度に約6300億円、27年度に約3000億円を追加で助成する方針です。累計の支援額は約2兆9000億円に上ります。

 前代未聞の巨額です。事業の先行き不安から民間の出資も民間の融資も集まらず、政府頼みで青天井の支援になるという恐れが現実のものになっています。

■審議過程が不透明

 出資などの決定の審議過程も極めて不透明です。

 ラピダス・半導体産業支援法を受け、経済産業省は支援先を公募していました。ラピダスのみが応募しましたが、事業計画の審議が行われた経産省の産業構造審議会の次世代半導体等小委員会では、答申が行われた1回を除く7回のうち3回で、ラピダスの提出した資料と経産省の資料のすべてが企業秘密を理由に非公開。議事録も冒頭のわずかな部分を除いて非公開となっています。

 しかし、巨額の支援の検証には、民間出資や民間融資、顧客獲得の具体的な展望など事業計画の詳細と審議過程の公開が欠かせません。

 巨額の政府支援に比べてラピダスへの民間出資は、極めて低調です。出資企業は、トヨタ自動車、デンソー、NTT、ソフトバンク、ソニーグループ、NEC、キオクシアが10億円ずつ、三菱UFJ銀行が3億円の計73億円にすぎません。

 ラピダスは、25年度に民間出資を約1300億円程度見込むとしていますが、新しくどの企業がどれくらい出資したのか具体的には公表されていません。

 ラピダスのホームページの会社概要には、12月9日現在、資本準備金も含めた資本金等が、22年11月時点で73億4600万円と記載されています。

 ラピダスへの出資企業8社の内部留保の合計は73兆円にのぼります。ラピダスの次世代半導体事業が資金提供に値するなら、民間からの資金でまかなうべきです。

 重大なのは、半導体が兵器開発でも不可欠となっていることです。アメリカは、中国に対抗して最先端の兵器を大量生産するため、「経済安保」の名の下に、同盟国を巻き込んでの半導体の生産体制構築を打ち出しています。

■赤字覚悟で米支援

 ラピダスへの巨額の国費投入は、こうした要求に応えたものです。ラピダス会長の東哲郎氏は23年の講演で、「重要な部分は何かというと、国防の領域」「そういう半導体を、まずはアメリカに届ける」とアメリカの軍需需要を最優先するとのべています。

 ところが、軍用半導体は生産量が少なく利益が出ません。赤字覚悟でアメリカの軍事を支えるためのラピダスへの国費投入は許されません。