肌の色が違う手と手を握りあい、その上にかかった虹の中に「みんな同じ」の文字が浮かぶ。矢が刺さったハートマークには「あなたのその一言が心をきずつけるかもしれない」と記されて▼今年の人権週間にあわせて、小学生がつくったポスターです。「みんな違ってみんないい」「未来の自分も自分らしく」といった標語を入れながら、それぞれの願いを込めた世界が描かれていました▼きょうは世界人権デーです。この日を最終日とした人権週間のテーマは「『誰か』のこと じゃない」。さまざまな人権問題を「誰か」のことではなく、自分のこととして捉え、互いの人権を尊重しあう大切さについて考えようと▼国連のグテレス事務総長は人権デーに寄せたメッセージの中で近年の深刻な状況を訴えました。「権利に対する目に余るほどの軽視と、人々の苦しみに対する冷淡なまでの無関心が露呈している」▼人権の世紀といわれる21世紀。2度の世界大戦を経験した教訓から「平和のないところに人権はなく、人権のないところに平和はない」との理念もひろがりました。しかし今なお、世界各地で紛争がつづき、性差別や外国人敵視、SNSを使った人権侵害も新たに顕在化しています▼「私たちはともに力を合わせ、人権を現実のものにする制度を守ることで、そうした不公正に立ち向かう力を持てます」。そう呼びかけたグテレス事務総長。それは、子どもたちが描いた、みんなの笑顔や幸せがあふれる世界へとつながるはずです。
2025年12月10日

