「時代の流れから逆行」「時計の針が逆に回った」。テレビ画面に映る「不当判決 結婚の平等を認めず」の横断幕に、こんな思いが浮かんだ人も多かったのでは。法律上同性カップルの結婚を認めない現行制度を「合憲」とした、先日の東京高裁判決です▼先行5件の高裁「違憲」判決の流れとは明らかに異質な唯一の「合憲」。「婚姻の自由と平等の実現はもはや揺るがない社会の情勢であり本判決はこれに逆行するもの」と原告弁護団▼憲法学者の木村草太さんがラジオ番組で、判決の「あまりにも悪い」点をあげていました。「婚姻は子どもをつくるために作られた制度。同性カップルは子どもを生まないのだから、それを利用できなくても当然、だから合憲」とした部分▼「憲法前文に『われらとわれらの子孫』とあるから、結婚は子どもを生むカップル専用の制度だという、前代未聞の理由づけをした」と。この理屈からすると、子どもがいない異性カップルは、結婚にはならない、できないということにも▼「結婚の自由をすべての人に」と同性婚法制化に取り組む「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」は「わたしたちは希望を捨てていません」と声明。当事者たちはさっそく集会で要請行動で、「明確な違憲判断を」と最高裁に向け、早期の法制化を求め国会に向けて、早くも足を踏み出しています▼「結婚の自由」のないこの国の遅れた現実。当事者の切実な願いは重い。「私たちが求めているのは、ただ、当たり前の結婚です」
2025年12月9日

