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2025年12月9日

一部患者に負担増

高額療養費制度 厚労省が見直し案

 厚生労働省は8日、同省の専門委員会の会合で、医療費の自己負担に月額上限を設けている高額療養費制度について、一部患者に負担増を押しつける見直し案を示しました。具体的な上限額は医療保険制度「改革」全体の議論を踏まえて設定し、来年夏以降順次施行する方針です。

 現行制度は、年収370万円と770万円の人が同じ所得区分で自己負担限度額も同額の上、区分が1段階変わるだけで負担上限額が倍増する仕組みです。このため同省は、住民税非課税の人を除く所得区分を3区分に細分化する案を示し、「例えば、年収750万円の人の限度額は大きく増加する」と説明しました。

 70歳以上の外来受診費を抑える「外来特例」の月額・年額上限の見直しや対象年齢の引き上げも検討。がんなど長期治療に伴う診療が「多数回該当」(直近12カ月で3回を超える場合、4回目から上限額を引き下げる仕組み)の患者の負担限度額は維持。それ以外の人の過重負担を避けるため「年間上限」を新設する案も示しました。対象は年に1回以上限度額に該当した患者とし、本人申請による運用を想定しています。

 会合では、財界や保険者、高齢者団体の委員から、外来特例の廃止を求める意見が相次ぐ一方、全国がん患者団体連合の委員は「高齢者の収入は年金が中心であり、過重負担とならないよう慎重にすべきだ」と訴え、日本難病・疾病団体協議会の委員も「性急な変更は生活破綻のリスクがある」と指摘。日本医師会の委員は「70歳以上の受診率は高水準で、外来特例の継続は必須だ」と強調しました。さらに「低所得者の自己負担は非常に大きく、限度額引き下げも検討すべきだ」との意見も出ました。