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2025年12月8日

きょうの潮流

 「今暁、西太平洋で米英軍と開戦す」。84年前のきょう大阪毎日新聞の夕刊1面におどった見出しです。「ホノルルを猛空爆」「マレー半島へ奇襲上陸」。戦果を威勢よく伝える大文字は紙面全体に▼開戦直前には朝日新聞が「日米交渉の成否今や 米の反省以外に無し」と米国側のみに責任を転嫁。当時の軍政が開戦後の情報政策として国内外に向け活発に啓発宣伝を行うと閣議決定したように、各紙はこぞって侵略戦争に協力していきました▼いま横浜の日本新聞博物館で「戦後80年 戦争を伝える」企画展が開催されています。戦時下の報道から見えてくるのは、新聞が真実を伝える使命を果たせず、戦意高揚の役割を担ったことです▼戦後はその反省を迫られ、「毎日」の西部本社は終戦翌日に白紙の紙面を発行。「朝日」は終戦の年に「国民と共に立たん」と題する宣言を載せ、常に国民とともに立ち、その声を声とする国民の機関になるとうたいました▼「読売」も自らを含めたメディアの戦争責任を検証しています。無謀な戦争に国民を駆り立てた痛苦の教訓。しかし昨今の高市政権による大軍拡や台湾発言、「スパイ防止法」といった戦争に向かう危険をどれだけメディアは伝えているか▼戦前、時事新報の海軍記者として活動した伊藤正徳(まさのり)は後に『新版 新聞五十年史』の中でこう語っています。「もしも全国の新聞社が真に一体となって不当の侵略政策に反抗することが出来たなら、太平洋戦争などは起こり得なかったであろう」