(写真)要請書を上野賢一郎厚労相(右から5人目)に手渡す超党派の高額療養費制度と社会保障を考える議員連盟の各氏。左から2人目は田村貴昭衆院議員、同3人目は小池晃書記局長=5日、厚労省
超党派の「高額療養費制度と社会保障を考える議員連盟」は厚生労働省で5日、高額療養費制度が持つセーフティーネット機能の強化を求める要請書を上野賢一郎厚労相に手渡しました。日本共産党から小池晃書記局長、田村貴昭衆院議員が参加しました。
要請書は、▽直近1年間で制度を3回利用すると4回目から負担上限額を引き下げる「多数回該当」の現行金額を維持する▽「多数回該当」に達しないまま上限に近い自己負担額を支払い続ける患者に配慮して、年度額の自己負担上限を決める▽低所得者の経済的負担を配慮する―ことなどを求めました。
小池氏は「高額療養費制度は命綱の役割を果たしている」と述べ、「多数回該当」の維持と年度額の負担上限を設けることを要望。70歳以上の外来医療の自己負担の月額上限を定めた「外来特例」の見直しについては、当事者の声をよく聞いて、丁寧に対応するよう求めました。
10月にステージ4の胆のうがんと診断された全国がん患者団体連合会の轟浩美事務局長は、現行制度でも「支払い時に、もし現役世代だったら治療をあきらめていたかもしれない額にショックを受けた」と述べ、限度額が引き上げられ、あきらめる人が増えないよう配慮を求めました。
日本難病・疾病団体協議会の大坪恵太事務局長は、難病や慢性疾患は治療が長く続くが、自己負担限度額にギリギリ達せずに多数回該当にも当たらず経済的負担が大きい患者が多い実態を示し、「年度額上限をぜひ進めていただきたい」と述べました。
上野厚労相は、要請を「重く受け止めた。今後の検討にしっかり反映していきたい」と応じました。田村氏は提出後の会見で、「あらゆる階層の人たちが負担上限額を引き上げられると困ると声をあげたことから議連はスタートした。上限引き上げがないよう厚労相の言葉を信じたい」と述べました。

