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2025年11月27日

きょうの潮流

 高校生がつくった、一本の自主映画が社会を動かす力となりました。学友を死に至らしめた原爆の憎らしさ、この悲しみをもたらした戦争の惨禍を訴えた▼広島で被爆し、母と弟を亡くした千葉亮(まこと)さんは東京に転居して成城高校に通っていました。しかし卒業間近の3年の秋、原爆症の影響とみられる白血病で入院。事情を知った生徒会は輸血の協力や療養のための募金活動をはじめました▼折しもビキニ事件で原水爆禁止の署名が全国に拡大していた頃。呼びかけは他校の生徒や各地に広がり、千葉さんの元には激励の手紙や花束、見舞品が次々と。その活動を伝えようと成城高の生徒会が制作した記録映画が、1955年完成の「無限の瞳」でした▼映画を待たず、千葉さんは18年の短い生涯を閉じます。その死に対する怒りと原爆の恐ろしさを忘れないようにと構内には今も「平和の像」が置かれています。そこを会場に、戦後・被爆80年の高校生平和の集いが開かれました▼戦争体験や被爆者の証言を直接聞ける最後の世代として学び交流し、一緒に声を上げる。全国からの参加者は「こんなに仲間がいるんだと勇気をもらった」「対話していくことが大事」だと感想を口々に▼映画のラストシーン。千葉さんへの弔辞で高校生の代表が原水爆の使用や戦争には断固反対すると訴えます。全世界の人々と手を取り合い、永遠の平和にむかって足並みをそろえる日まで、ぼくたちは決してきみの死を忘れない―。その思いは受け継がれています。