(写真)パネルディスカッションを行うデニー知事(左から2人目)ら=24日、東京都千代田区
沖縄県は24日、戦後80年に、沖縄が歩んできた歴史と平和への「想(うむ)い」を次の世代に引き継ぐため、平和劇・対話・音楽を通じて平和を考える催しを東京都内で開きました。県が2019年度から続けている平和を希求する「沖縄のこころ」を広く伝える事業の一環で、玉城デニー知事らが参加しました。
平和劇は、沖縄戦の激戦地だった沖縄本島南部のガマ(自然壕=ごう)での出来事について当時11歳だった人の証言をもとに制作したもの。パネルディスカッションではデニー知事が、日本国内で最大の地上戦となった沖縄戦に総動員された県民の多くが尊い命を奪われたと訴え、今も「平和の島」沖縄は「達成されていない」と述べ「平和の大切さを世界に発信しなければならない」と強調しました。
平和劇を制作した永田健作さんは、これまで証言を聞いた戦争体験者14人が“悲劇は二度と繰り返さないでほしい”“戦争は自分たちの代で終わらせてほしい”と異口同音に語ったと紹介。沖縄戦が題材の映画「木の上の軍隊」の監督の平一紘さんは、同県伊江島での撮影準備中に戦没者とみられる遺骨20人分が見つかり戦争の恐ろしさを感じたと述べ、戦争を知るだけでなく「行動しないと平和は生まれない」と語りました。
沖縄戦で犠牲となった県立第一中学校生徒の遺品を所蔵する「一中戦没学徒資料室」解説員の大田光さんは、戦前は学徒動員に疑問を感じても沈黙せざるを得ない社会だったのではないかと指摘し、「健全な言論空間を守っていくことが今の私たちの世代に大事だ」と訴えました。
ロックバンド「MONGOL800」のキヨサクさんは、沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒隊」ゆかりの「別れの曲(うた)」などを歌って平和への「想い」を広げました。

