日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2025年11月26日

主張

土俵の「女人禁制」
首相は差別なくす責任果たせ

 大相撲の九州場所の千秋楽、優勝した安青錦への内閣総理大臣杯は、外遊中の高市早苗首相の代理として首相補佐官が手渡しました。慣例では首相または代理の官房長官などが土俵上で授与します。

 もともと高市首相は、「伝統文化を大切にしたいという意向」(11日、木原稔官房長官)で、自ら優勝杯を渡すつもりはなかったとされます。

 ここで言う「伝統文化」とは、日本相撲協会が、取組以外でも女性を土俵に上げないことを「伝統」としてかたくなに守ろうとしていることです。同協会はその理由に(1)相撲は習俗に近い素朴な庶民信仰としての神事が起源(2)土俵上の吊(つり)屋根など神道由来の様式を伝統文化として守りたい(3)土俵は力士にとって神聖な戦い・鍛錬の場―をあげたうえで、女性を不浄視するものではないと説明します(2018年の理事長談話)。

■「男の世界」だから

 特に強調するのが“土俵は男が命をかけた戦いの場”です。裸にまわしを締めて土俵に上がるという「大相撲の力士には男しかなれない」ので「大相撲の土俵には男しか上がることがなかった」という「伝統を守りたい」、「土俵は男だけの世界であり、女性が土俵に上がることはないという慣(なら)わしが受け継がれてきた」とします。(同)

 しかしどれも公の立場で優勝杯を渡すために女性が土俵に入るのを拒む理由になりません。女性首相が土俵に上がったからといって吊屋根などの伝統文化が損なわれるわけではなく、“命がけの戦いの場”というなら力士以外は上がらせないこともありえます。女性だけ上がらせないのは理由のつかない差別です。

 同協会自身、「女人禁制」がどんな「伝統」なのかまともに説明できず、「慣わし」としか言えません。日本も締結している女性差別撤廃条約は、▽女性への差別となる「慣習および慣行」を修正・廃止する措置▽「公職に就き、すべての公務を遂行する権利」を男性と平等の条件で確保するための措置―をとるよう締約国に求めています。

■要求してきた歴史

 これまで、1990年に森山真弓官房長官が総理大臣杯を、2000年代前半には太田房江大阪府知事(いずれも当時)が知事賞の授与を求めるなど保守政治家も含めて公の立場にある女性が土俵に上がることを求めてきましたが同協会に拒否されました。

 高市首相が「伝統文化の尊重」を理由に、今後、自ら首相としての機会を生かさず、「公務を遂行する権利」を放棄するなら、伝統文化の名による不合理な差別を是認するメッセージになります。

 古代オリンピックもゼウスなどの神々を崇(あが)める宗教行事で、競技者は裸で女子禁制でした。1896年の第1回近代五輪も女子禁制でしたが第2回から女子選手が参加、女子競技は次第に広がり、2024年のパリ五輪で初めて選手比率が男女同数となりました。相撲でも女子の世界選手権大会が開催されています。

 伝統も文化も変化します。“初の女性首相”となった高市首相はその機会を生かし、あしき慣行、女性差別をなくす責任を果たすべきです。