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2025年11月24日

きょうの潮流

 案の定、口先だけでした。「深く反省しおわびする」。国の生活保護費大幅引き下げを最高裁判決が「違法」としたことに対する高市早苗首相の国会での弁です。謝罪するなら「いのちのとりで裁判」原告らに向き合うべきです▼原告らの願いは、すべての生活保護利用者に引き下げた分を全額補償すること。政府はそれに背を向けました。「特別給付金」は引き下げた全額ではありません。それだけでなく、原告とそれ以外の利用者で給付額に差をつけることを決めました▼「自分のためだけに原告になったわけじゃない」。多くの原告は、そう口にします。声を上げたくても上げられない利用者が原告の背後にはおおぜいいます。子どもがいじめに遭うかもと、原告になることを断念した人。裁判が開かれるたび応援に駆けつけた保護利用者…。原告とその他の利用者で区別する対応は、新たな分断を生むことに▼生活保護費の引き下げは、利用者から人間らしい暮らしを奪いました。「毎晩、朝になっても目が覚めなければいいと考えながら寝床につく」。高齢の利用者が語っていました。生きるのに精いっぱいで人との付き合いも疎遠に▼最高裁判決は生活保護費を引き下げた国の誤りを指摘しました。人として生きていけない利用者の苦しみをくみ取ったものです▼国が今やるべきことは、うわべだけの謝罪ではありません。国民の中に分断を持ち込ませず、原告や保護利用者の暮らしをどう回復させるのか。そのことに力を注ぐべきです。