自民・維新の連立合意に、維新が「連立の絶対条件」としていた「副首都構想」が盛り込まれ、両党の協議が始まりました。住民投票で2度も否決された大阪「都構想」や、破綻した「首都機能移転」を看板を掛け替えて押しつけようというものです。
維新の副首都法案骨子素案には、副首都の要件として「特別区の設置」が盛り込まれ、地理的にも「東京圏と同一地域でない」とされています。特別区は法律で人口200万人以上が要件です。副首都に手をあげた都市で単独で合致するのは大阪市だけです。大阪市を廃止して複数の特別区に再編することは大阪「都構想」の実現にほかなりません。
■独裁的な行政運営
大阪「都構想」は、カジノ都市づくりなど大企業支援の行政を進めるため、大阪市の権限も財政も大阪府が吸い上げ「1人の指揮官」(橋下徹氏らの発言)による独裁的な行政運営を進めるのが狙いです。
大阪「都」によって湾岸開発などが進められる一方で、「特別区」は権限も財政も乏しく住民サービスは後退し、住民の声が届かない自治体となる危険を抱えています。
連立合意では副首都の目的を▽首都の危機管理機能のバックアップ▽首都機能分散および多極分散型経済圏の形成―とし、災害時などの首都機能の補完と、いわゆる「東京一極集中の是正」による経済成長をあげます。
しかし、「危機管理」も「多極分散型経済圏」も1990年代から本格化した「首都(機能)移転」論のなかで持ち出され破綻したものです。
中央省庁については、耐震化や建て替えなど一定の防災対策が行われており、防災の名で副首都をつくる必要性があるのか厳しく問われます。防災対策というなら、行政機関だけでなく多くの国民・住民を守る対策こそ重要です。
■「壮大な無駄遣い」
「多極分散型経済圏の形成」も、「首都機能の移転」程度でできるわけがなく、移転先で新たな集中を生むだけで「東京一極集中の是正」にはつながらず、「壮大な無駄遣い」だと批判され、断念に追い込まれたものです。
見過ごせないのは、副首都法案の骨子素案に副首都整備のため「規制緩和や税制上の特例措置」の適用まで盛り込んでいることです。副首都整備にかかる費用だけでも97年に「最大14兆円」(国土交通省の試算)とされ、現在なら16兆円余にもなる計算です。
自民党にとっても、「首都機能移転」を再び持ち出し、ゼネコンやIT企業などが潤う「副首都機能の整備」を進める契機にする狙いがうかがえます。いずれも国民・住民のニーズから出たものではなく、財界の要求に応えるための国家・自治体「改造計画」にほかなりません。
維新は、この破綻した「首都機能移転」を「副首都設置」と言い換えて、住民からノーを突き付けられた「大阪都構想」を連立政権として押しつけようとしています。
防災対策や「東京一極集中の是正」というのなら、基礎自治体の権限や財政を強化し、賃上げや中小企業への支援を行い、地域経済を強くすることこそ必要です。

