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2025年11月18日

主張

リニアと公共交通
破綻事業の中止と政策転換を

 JR東海のリニア中央新幹線地下工事で、またも事故が起きました。東京都品川区で10月28日、地面が最大13センチ、幅約10メートルも隆起しました。現場の地下80メートルの場所では「第1首都圏トンネル」の掘削が行われています。

 JR東海は工事を一時的に止めて調査中としますが、地面隆起はトンネル工事が原因であることは濃厚です。昨年も、東京都町田市の住宅の庭で水と気泡が湧き出し、掘削工事が中断されました。

■大深度地下の工事

 品川と新大阪(438キロ)を結ぶリニア新幹線は現在、品川―名古屋間(286キロ)の工事が進められています。同区間の約8割はトンネルです。都市部では、40メートル以上深い地下にトンネルを掘り進める事業で、「大深度地下使用法」に基づいて行われています。

 同法は、地下40メートル以上深い「大深度地下」は“通常使用しない空間”であるから“地上に影響を及ぼす可能性は低い”と決めつけ、地権者の同意も補償もなしにトンネル工事などを行えるようにしたものです。2000年に日本共産党を除く各党の賛成で可決されました。日本共産党は、その後の国会で大深度地下工事の危険性を追及してきましたが、政府は「地上への影響は生じない」などと強弁してきました。度重なる事故は、地下深く掘る工事の難しさを示しています。南アルプストンネル静岡工区も掘削工事に着手できていません。

 しかもJR東海は、総工費が当初見込みの約2倍の11兆円に膨らむ見通しになったことを明らかにしました。工事費増の理由に、「物価等高騰の影響や難工事への対応」を挙げ、開業時期を「便宜上2035年と仮置きする」と、事実上開業時期さえ示せない事態になっています。

 リニアは、南海トラフ地震など巨大災害時に東海道新幹線が不通になった際のバイパス(迂回〈うかい〉)機能があると説明されてきました。しかし、新幹線や高速道路が壊滅的な打撃をうけるような災害のもとでリニアだけが無事という保証はありません。

 超電導で走行するリニアは、新幹線の約4倍の電力を消費するといわれ、気候危機打開にも逆行します。冷静に考え直し、リニア事業を中止すべきです。

■在来線の支援こそ

 一方、鉄軌道の廃止がこの4年間で全国47路線、1275キロにのぼり、地域公共交通の衰退に歯止めがかかりません。国民の交通権、移動する権利を保障することは政府の責務です。ローカル鉄道は沿線住民の生活に必要な移動手段であるとともに、観光やまちづくりなど、地域経済社会再生の基盤です。

 約40年前、全国ネットワークの国鉄が分割・民営化されました。ローカル線を抱えたJR北海道、四国、九州各社が赤字になることは明白でした。黒字の新幹線を引き継いだJR東日本、東海、西日本には巨額の内部留保があります。住民の公共交通の充実・整備にこそ使うべきです。

 政府は、破綻したリニア新幹線の工事許可を取り消し、JR各社のローカル線を含め公共交通を支援すべきです。