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2025年11月16日

きょうの潮流

 ♪戦争に負けてわたしは生まれた 人目を気にすりゃ街は砂漠さ…。高橋エミさんの歌「生きる!」を聴くたびに胸を揺さぶられます▼高橋さんは、今井正監督の映画「キクとイサム」(1959年)に12歳で出演しました。敗戦後、進駐軍の黒人米兵と日本人女性との間に生まれ、東北の寒村で祖母と生きる姉弟の物語。肌色の違いゆえの偏見や差別に遭いながらもたくましく生きていくキク役です▼自身、黒人米兵と日本人との間に生まれ、父を知らず祖母に育てられた高橋さん。その出自やきっぷのよさを生かし、鋭い人間洞察で展開する水木洋子の脚本、今井演出で、作品は日本映画史に刻まれる一作に。「黒んぼ」と言われるキクの「なして人間には白いのと黒いのとあるんだべ」というせりふは異質な存在への不寛容を鋭く突くようです▼高橋さんは好きな歌の道へ進むことを水木さんに励まされて高校時代から修業し外見本位の業界への無念さを超え76年にLPレコードで歌手デビュー。来年50周年を迎えます▼東京・北区の下町育ち。感謝を込めて先月、地元で開いたコンサートでは「生きる!」や「無法松の一生」など持ち歌の数々、若い頃の「私は日本人なんだから」というこだわりを超えたジャズを熱唱。「父親譲り」の豊かな声量で響かせ半世紀の歩みを思わせました▼「戦争に負けてわたしは生まれた」という歌詞はいま「自分のもの」になっている、と。「昭和は戦争の時代。私たちが死んで昭和は終わる」と言います。