日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2025年11月16日

高市政権の農政をどう見る?

岩渕友参院議員に聞く
自己責任の方針変わらず

 日本の農業・米生産をめぐり、自民党農政の破綻が深刻さを増す中、臨時国会で議論が行われています。高市早苗新政権の農政をどう見るか、新しく参院農林水産委員会を担当する日本共産党の岩渕友参院議員に聞きました。(松田久美子)


写真

(写真)岩渕友参院議員

 ―高市内閣の農政はどのような特徴があるでしょうか。

 高市首相は所信表明演説で、農政について「輸出を促進し、稼げる農林水産業を創り出す」と語っただけでした。これまでの自民党農政の継続であり、農民や消費者の思いに反するものだと思います。

 この1年、農家や消費者は米不足、米価高騰に振り回されてきました。小泉進次郎前農水相は、今年、米価が急激に高騰したことで「消費者の視点で米価を引き下げる」として備蓄米放出を行い、石破茂前首相は8月の閣僚会議でようやく米不足を認め、増産に切り替える方針を出しました。

 しかし、鈴木憲和農水相は「米不足は解消した」として「需要に応じた生産」の方針のもとに再び「減産」に転じました。一部では「わずか2カ月程度で農政、また転換」と報じられていますが、実はこの「農家が自分の判断で需要に応じた生産を」という自己責任の方針は、石破内閣でも高市内閣でも全く変わっていません。

 鈴木農水相は米価について、しきりに「米価はマーケットで決めるもので政府は関与しない」と主張していますが、これも従来の自民党の基本方針です。結局、自民党の農政は「令和の米騒動」の前後で何も変わってないと言わざるを得ません。

今の政策 遠い安定

写真

(写真)コンバインで収獲する様子=9月21日、京都府京丹後市

 ―政府は、主食米が増えたといっていますが、米の価格高騰は続いています。現状はどうなっているのでしょうか。

 夏までの供給不足の影響で、生産現場では新米の集荷競争が起き、価格が高騰しています。しかし、データを見ると備蓄米が大量に放出されたこと、新米の出来がよかったこと、輸入米がかなり出回っていることから、供給量が需要量を大きく上回る状態になっています。生産現場では、そのうち暴落するのではとの不安が広がっています。

 一方、今この時点で需要を上回ったとしても、農地面積が増えたわけではなく「米の総量」は増えていません。飼料米や酒米などから主食米への生産に替えただけで、全体の米の生産量は減り続けています。畜産農家は、家畜の飼料米が必要ですが、飼料米が不足しているため高騰して苦しい経営を強いられています。

スイス参考に

 ―米、食料の安定生産・安定供給には、どのような政策が必要でしょうか。

 米は日本国民の主食ですから、生産者に再生産可能な所得補償・価格保障をして、消費者には納得できる手頃な価格で提供するのは政府の責任です。

 豊作などで民間の在庫がだぶついて、大幅な価格下落が予測される場合は、国が備蓄米の買い増しを行い、逆に米不足が懸念される場合は、備蓄米を放出する仕組みで米の価格を安定させる政策を導入するべきです。

 しかし、備蓄米の出し入れではコントロールしきれないことは、今回の「米騒動」で明らかになりました。政府は、米の価格が下がった場合は、収入保険や収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策)があると言いますが、これらは制度の仕組み上、価格が低迷し続ける場合や、生産コストが高騰した場合には助けにならず、安定したセーフティーネットとはいえません。米の市場価格が生産コストより下がった場合、差額を補てんする制度(価格保障)が必要です。

 さらに、中山間地などの不利な条件地での営農を助けたり、環境や国土保全の活動を支援する加算制度も設けて、総合的に農家の所得を直接支援することも必要だと考えられます。スイスでは、農家への直接支払い制度が豊富で、耕作地確保や食料安定供給だけでなく、景観保護に対する直接支払いもあります。スイスも家族経営が多く高齢化が進んでいたなど共通点が多いため、日本でも、スイスの政策も参考にして多面的機能を評価する所得補償を行うべきです。

 また、お米券など一時的な対策だけでなく、子育て世帯や低所得世帯などへの支援制度も求めていきたいです。

予算拡充こそ

 こうした政策を実行するためには、農林水産予算の抜本的な増額が必要です。日本共産党は、農水予算を1兆円増やし、政治が食料の安定供給に責任を持つよう求めています。一方、高市政権は、軍事費を国内総生産(GDP)比2%(11兆円)水準を、年度内に前倒しして達成すると表明しています。国民の生活を守るためにも、大軍拡ではなく、くらし、農業の予算の拡充こそ必要です。