株主の利益を最大化することだけを至上命令とする大企業の行動原理が、長期的な経済発展や国民生活の向上を大きく損なっています。
日本共産党の小池晃書記局長は13日の参院予算委員会で、大企業が株価つり上げのために「黒字リストラ」や自社株買いを進めていることを指摘。大企業のもうけを最優先した経済政策を切り替え、労働者を守るために政治が責任を果たすよう求めました。
■黒字リストラ放置
人件費を下げれば、コストカットにつながり、投資家の評価が上がります。このため株価つり上げを狙って、経営が黒字でも人員削減をおこなう「黒字リストラ」が広がっています。
東京商工リサーチによれば今年、早期・希望退職募集をした企業の約68%が直近の最終損益が黒字で、うち約8割が株価の評価が高い東証プライム上場企業でした。
小池氏は、「黒字リストラ」で企業の短期利益をあげて大株主を大もうけさせても、国民の暮らしは疲弊すると追及。「雇用に対する責任を果たすよう(政府として)いうべきだ」と迫りました。ところが、高市早苗首相は「労働者の自由な意思決定を妨げるようなことがあれば、適切ではない」というだけでリストラは野放しのままです。
一方、株主優先の経営は、本来賃金に回すべき利益まで株価つり上げのための自社株買いにあてています。そのため、大企業は空前の利益を上げながら、労働者の賃金は一向にあがりません。
小池氏が、政府の賃上げの具体策をただすと、城内実賃上げ環境整備担当相は「いろいろある。さまざまなやり方があると思う」とシドロモドロでまったく答えられず、高市首相は「経営資源を適切に配分するよう促す」というだけでした。
■労働時間短縮こそ
さらに、高市首相は、働きたい人がもっと働けるようにするなどとして、労働時間規制の緩和検討を指示しています。しかし、月80時間の残業規制を超えて働きたいという労働者は0・1%しかいません。小池氏は「労働時間の規制緩和は労働者の要求ではなく、財界側の要求だ」と指摘しました。高市首相は「本人の選択が前提」と答弁。残業代が減るために副業をし、かえって健康を損なう労働者がいるのを懸念するかのようにのべました。
しかし、労働時間を規制するのは労使に厳然たる力の差があるからです。「労働者本人の選択」などとしたら、際限ない長時間労働になる危険があります。高市首相が本当に労働者の健康を懸念するなら、残業せずにすむ賃金を保障することこそ必要です。労働時間の短縮を目指すべきで、規制緩和など論外です。
日本経済が「失われた30年」と呼ばれる長年の低迷から抜け出せない原因は、大企業が空前の利益をあげながら、株主配当を優先して賃上げに回さないため、富の偏在が生まれていることにあります。
大企業には、賃上げできる十分な体力があります。大幅な賃上げと労働者の権利を守るために、政治が責任を果たす必要があります。

