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2025年11月13日

主張

衆院予算委の論戦
大軍拡が平和・暮らし破壊する

 台湾有事が「存立危機事態になり得る」と危機をあおる答弁を撤回しない。他国を攻撃できる長射程ミサイルの配備加速を当然視し、不安を抱く住民への説明会は拒否する。米国が要求する軍事費のGDP(国内総生産)比3・5%への増額も否定しない―。

 日本共産党の田村智子委員長が11日の衆院予算委員会で行った質問は、日本の平和と国民の暮らしを押しつぶす大軍拡の道をなりふり構わず突き進む高市早苗政権の危険性を浮き彫りにしました。

 高市首相は7日の衆院予算委で、台湾有事が「戦艦によって(中国による)武力行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースだ」などと答弁しました。

■軍事的緊張あおる

 「存立危機事態」とは、日本が攻撃されていないのに、集団的自衛権を行使し、自衛隊が海外で武力行使をする事態です。高市氏の答弁は「一国の総理大臣が国会の場で、台湾という地域を挙げて有事の具体例を想定して発言」(田村氏)したもので、このこと自体が軍事的緊張をあおることになります。田村氏が答弁の撤回を求めたのに対し、高市氏が「必要はない」と開き直ったのは重大です。

 日中関係で重要なのは、「互いに脅威とならない」とした日中首脳会談(2008年)での合意に基づき、双方が緊張と対立を悪化させるような行動を自制することです。

 台湾の問題も平和的な解決こそ求められます。中国は台湾への武力行使や武力による威嚇を行ってはならないし、日本と米国は軍事的に関与・介入すべきではありません。

 政府の大軍拡計画の一環として長射程ミサイルの初配備が予定される熊本県では、住民の多数が「相手国から攻撃対象にされる」などの不安を抱き、反対しています。しかし、防衛省は住民説明会さえ開いていません。田村氏の追及にも小泉進次郎防衛相は「予定はない」と答えました。

■「亡国の道」を歩む

 一方で高市氏は長射程ミサイルが「全然足りない」とし「もっともっと抑止力を強くしていかなければいけない」と述べました。政府は日本が攻撃を受けていない「存立危機事態」で長射程ミサイルの使用があり得るとしています。事実上の先制攻撃です。いくら「抑止力」を強調しても住民の納得が得られないから説明会を開けないのです。

 高市氏は自民党総裁選でも一言も触れなかった軍事費のGDP比2%(11兆円)への引き上げを前倒しして今年度中に行い、2%目標を盛り込んだ安保3文書の改定も早めると表明しました。トランプ米政権が日本に軍事費のGDP比3・5%(21兆円)への増額を求めているのに応えるためです。

 GDP比3・5%は「医療・介護・生活保護の国の予算18兆円を上回る、あり得ない規模」で「暮らしも日本の財政も破壊する亡国の道」(田村氏)です。田村氏が「あり得ない」と表明すべきだと迫りましたが、高市氏はそうした認識を示しませんでした。

 日本が行うべきは、日米同盟絶対で米国に付き従い、軍事力強化にひた走ることでないことは明らかです。