中国が台湾を武力統一する「台湾有事」が発生すれば、米軍の戦争に参戦する「存立危機事態」に該当する―。高市早苗首相は7日、衆院予算委員会で、日本が直接、攻撃を受けていないにもかかわらず、中国に対して米軍とともに武力行使する可能性を明確に認めました。今後の日中関係に大きな波紋を広げる重大答弁です。
歴代政権は、同盟国の戦争に参戦し、武力行使する集団的自衛権の行使は違憲であるとして禁じてきました。日本が武力行使できるのは、「我が国に対する急迫不正の侵害」の場合に限っていたからです。
ところが、第2次安倍政権が2014年7月の閣議決定で政府見解を変更し、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合に武力行使が可能だとしました。15年に強行した安保法制には「存立危機事態法」を盛り込み、違憲の集団的自衛権の行使を可能としました。
では、いかなる場合が「存立危機事態」に該当するのか―これまでの政府答弁では、中東のホルムズ海峡が海上封鎖され、原油が途絶える場合などを例示。台湾有事については明言してきませんでした。
ところが、高市氏は、立憲民主党の岡田克也議員が「台湾・フィリピン間のバシー海峡の海上封鎖」を例示して見解をただしたのに対し、「(中国による)海上封鎖を解くために米軍が来援する、それを防ぐために何らかの武力行使が行われるといった事態も想定される」と答弁。さらに、「台湾を中国・北京政府の支配下に置くために…戦艦を使って、武力行使も伴うものであれば、どう考えても『存立危機事態』になりうるケースだ」と初めて明言し、「台湾有事」への参戦の可能性を認めたのです。
台湾住民の意思を無視した「武力統一」はあってはなりません。だからといって、その場合に、日本が武力行使に踏み切れば「軍事対軍事」の悪循環をもたらすことにしかなりません。1972年の日中共同声明で、台湾が中国の領土であるとする「一つの中国」を確認していることとの整合性も問われます。(竹下岳)

