(写真)西村カリンさん
維新の会の藤田文武共同代表は一部のマスコミの役割を否定しながら記者会見の場で記者を恫喝(どうかつ)したり、SNSで「しんぶん赤旗」の記者の名刺を公開したりしている。これはまさに世界中のポピュリスト政治家が支持者を煽動(せんどう)するためによくやることだ。
そもそも記者会見の目的は、記者の鋭い質問に答える場であり、記者に文句を言うところではない。良い記者と良くない記者を自分で選ぶのは独裁者のやり方だ。また政治家が特定の記者の個人情報を公開することは攻撃のターゲットを指すことで、許せない危険な行為だ。
民主主義の国に於(お)いて第4の権力であるメディアは極めて重要な役割を果たす。それは政治家の行動や発言を監視することだ。きちんとそれをする記者が、当然なことにポピュリストや独裁者に嫌われる。彼らは自分がコントロールできないマスコミを排除する。報道の自由を認めない政治家は民主主義そのものを否定する。
「しんぶん赤旗」は報道機関ではなくプロパガンダだと藤田共同代表が言ってしまった。どの媒体が報道機関であるかを判断するのは政治家ではない。
カラーのないマスコミだけが報道機関であるわけでもない。プロパガンダという言葉の使い方もおかしい。藤田氏についてのしんぶん赤旗の記事はどこが「共産党の政治的な宣伝」であるか? 関係ないだろう。政治的な方向のある新聞は世界中にある。多くの媒体があって、様々(さまざま)な意見が同時に世の中に存在し、表現できるのがまさに報道の自由であり、民主主義が守られているということだ。(寄稿)

