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2025年11月9日

主張

高市政権の米政策
市場任せで米価は安定しない

 高市早苗新政権の鈴木憲和農水相は就任以来、「需要に応じた米生産」を強調し、同省は2026年産米の生産量目安を25年産収穫量より5%、37万トン減らすと発表しました。「令和の米騒動」を招いた従来の米政策を何の反省もなく引き継ぎ、安心して米を作りたい農家や、手頃な価格で国産米を食べたい消費者の願いに反するものです。

■「増産」から減産に

 石破茂前政権は8月、ようやく米不足を認め「増産に転ずる」方針を掲げましたが、増産による価格下落対策はなく、農家が安心して増産できる展望は示せませんでした。

 わずか2カ月後、鈴木農水相は「不足感は解消された」として「増産」を撤回。37万トン減は政府が見込む最大需要量に一致する数字で、「需要に応じた生産」そのものです。

 歴代政府は「需要に応じた生産」の名で、米需要が毎年減ることを前提に生産量をギリギリに抑え、農家に減産を強いてきました。昨年来の米不足はコロナ禍以降、生産量を大幅に減らし民間在庫が極端に少なくなったところに政府の需要と供給量の見誤りも加わって生じたものです。

 政府は今年産の収穫量が昨年より68万トン多く見込まれ、来年6月末在庫は過去最大になると強調しますが、米価の回復で加工用・飼料米などが主食用に替わっただけで米生産全体が増えたわけではありません。政府の備蓄米大量放出の結果でもあります。緊急時の備えを失い補填(ほてん)も求められている時にギリギリの需給計画でいいのか問われます。

■生産調整でも下落

 鈴木農水相は「米価は市場で決まるべきだ。政府は関与しない」と強調しますが、無責任です。30年前、政府が米を市場に任せて以降、生産調整はほぼ達成されましたが米価は一貫して下落傾向をたどり、近年の米農家の時給は10円という水準に陥りました。

 生活困難から安い米を求める声を背景に、大手流通資本が生産費を大幅に下回る買いたたきをした結果です。

 市場任せは他方で、米が不足すれば暴騰し、国民の暮らしを脅かすことになるのは昨年来の経験で明白です。

 気象や社会情勢の変化による米の生産や需要の変動は避けられません。「需要に応じた生産」をすれば政府の関与なしでも米価が安定するというのは現実を見ない議論です。

 政府がいま財政負担軽減のため、政府備蓄米の縮小、民間備蓄の導入、輸入米の備蓄への活用を検討していることも重大です。国民の主食・米の安定供給への政府の役割、責任を後退させ、食料の自給率向上を投げ捨てるものです。

 昨年来の「米騒動」が求めているのは、ゆとりある需給計画で備蓄や生産を増やす、過剰時には政府が買い上げ、不足時には放出するなど柔軟な運用で米の需給や価格安定に政府が責任を持つ政治です。農家の販売価格が生産費を下回る場合、差額を補填する制度を創設し安心して増産できる所得を補償することです。

 当面の米価高騰には、賃上げや消費税減税など国民の所得向上を求めながら、学校・病院などの給食、低所得者・子育て・年金世帯などへの支援も検討すべきです。