極端に広がる経済格差を「1%と99%」という言葉で告発して政治のあり方を問い直す契機となった、2011年の「オキュパイ(占拠)運動」。世界各地に影響を与えた運動の発祥地は、米国の富を象徴する街でした▼そのニューヨーク市で「民主的社会主義者」を名乗る市長が誕生しました。民主党進歩派のゾーラン・マムダニ州議会議員です。アフリカ生まれのインド系。イスラム教徒の市長は同市で初です▼繁栄を下支えする多くの市民は、物価高や家賃高騰に苦しむ毎日。家賃の凍結、公共バスや保育の無償化、市直営スーパー設置などで、生活できる市にしようと訴えたマムダニ氏。その財源は、富裕層への課税強化です▼予備選に名乗り出た頃の支持率は1%だったとか。無名の候補が、一部の大金持ちが牛耳る政治を大多数の市民に取り戻そうと訴えエスタブリッシュメント(支配階級)を代表したクオモ前州知事を打ち負かしました▼訴えが響いたのは、20~30歳代といいます。本紙特派員が選挙最終盤の盛り上がりを伝えていました。草の根で支持拡大の対話を広げた人々の合言葉は「いつでも戸別訪問」だったといいます▼大富豪26人が当選阻止のために投入したのは「総額2200万ドル(約34億円)」(フォーブス誌)。トランプ大統領は共和党候補を飛び越えクオモ氏支持を表明。その応援もむなしく、マムダニ氏の圧勝に終わりました。トランプ大統領の就任からわずか1年。米最大都市では地殻変動が起こっています。
2025年11月7日

