(写真)代表質問をする田村智子委員長=5日、衆院本会議
日本共産党の田村智子委員長は5日、衆院本会議で代表質問にたち、「政治とカネ」問題の全容解明、消費税減税など、衆参ともに与党過半数割れをもたらした国民の審判に向き合うよう高市早苗首相に迫りました。賃上げと労働時間の短縮、医療崩壊阻止など暮らしを守る対策を求めるとともに、高市政権が進めようとする対米従属の異常な大軍拡路線を追及。自民・維新政権による悪政推進の突破口となる国会議員定数削減を阻止するため、広範な共同を呼びかけました。
賃上げ・労働時間短縮・医療
国民の命守る方針こそ
田村氏は、暮らしと経済を守るために物価高騰を上回る賃上げとともに労働時間の短縮を求めました。
田村氏は、2024年度の労働分配率が51年ぶりの低水準で、特に大企業の労働分配率は12年度の53・4%から24年度は37・4%へと急降下する一方、同じ12年間で大企業の純利益は4・6倍、株主配当は2・8倍、大企業の内部留保は200兆円以上増え561兆円にのぼる実態を示しました。働く人が生み出す富が賃上げに回らずに、株主への配当と大企業のため込みに流れていると指摘。労働分配率の急降下は異常だと強調し、「大企業の内部留保の一部に課税して中小企業への賃上げ直接支援に充てる」ことを提案。「働く人が生み出した富を働く人のもとへ回す仕組みをつくるのが政治の責任だ」と迫りました。
高市首相は、「労働分配率は低下傾向だ」と認めましたが、内部留保への課税は「二重課税に当たるとの指摘もあることから慎重な検討が必要だ」と否定しました。
田村氏は、高市首相が就任早々に「労働時間規制の緩和の検討」を指示したのは、経団連の要望に呼応した長時間労働を強いる労働法制の規制緩和を行うものだと批判。厚生労働省の資料では、「月平均80時間という残業規制を超えて働きたい」労働者はわずか0・1%だったことを示し、「それでも規制緩和をするのか」とただしました。さらに、長時間労働による命と健康への被害が近年、急増していると指摘。政府が進めた「働き方改革」は「命と健康を守るものになっていなく、事態はますます深刻だ」と述べ、高市首相にこの認識があるか問いました。「賃上げと一体で労働時間の短縮こそが目指すべき大方針ではないのか」と提案しました。
高市首相は、「厚労相などに心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制緩和の検討を行うよう指示をした」などと述べ、労働時間の短縮には全く言及しませんでした。
田村氏は、病院の6割が赤字で倒産や閉鎖も相次ぐ医療危機を招いたのは、社会保障抑制のもと、人件費や物価高騰に全く見合わない診療報酬にとどめてきた失策のせいだと批判。「維新との合意で医療への公費を4兆円削減したら、患者の自己負担は激増し、医療基盤が崩壊しかねない」と強調し、「国民の命を脅かす社会保障切り捨てを断じて許すわけにはいかない」と訴えました。
高市首相は、「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの検討を迅速に進め、現役世代の保険料負担を抑え、地域の実情に応じて病床の適正化に取り組む」とし、OTC類似薬の保険適用外しや病床11万床削減などを盛りこんだ維新との連立合意に沿って、社会保障を切り捨てる姿勢を示しました。
軍事費・軍拡・核実験・気候危機
米言いなりでいいのか
田村氏は、高市首相が先月28日の日米首脳会談で国民への説明もないまま軍事強化を対米公約したことを厳しく批判し、武力衝突を起こさないための外交努力を継続するよう求めました。
トランプ米政権が、国内総生産(GDP)比3・5%の水準への軍事費増額を日本に要求するもと、首脳会談で高市首相が「防衛力強化と防衛予算増額に取り組む」と表明したことは「米の要求を受け入れることになるのではないか」と指摘。首相は会談に先立つ所信表明で、自民党が今夏の参院選挙で公約に掲げてさえいなかったGDP比2%への軍事費増額を2年前倒しし今年度中に達成すると表明したと批判。「暮らしに関わる重大問題をなぜ勝手に会談で持ち出し、対米公約したのか。国民不在の対米従属外交そのものだ」と厳しく指摘し、軍事費拡大をどこまで引き上げるのかと追及しました。
高市首相は、軍事の「抜本的強化はわが国の主体的判断だ」などと開き直り、軍事費増額の水準についても「具体的、現実的議論を積み上げていく」と述べるにとどめました。
田村氏は、異常な軍事費拡大の目的は、外国を攻撃するミサイルの大量配備や米国製戦闘機の大量購入などによって、日米一体で戦争するための準備を行うことにほかならないと指摘。そのうえで、軍事対軍事の悪循環がエスカレートすることは、むしろ東アジアの軍事的緊張を高め、武力衝突につながりかねないと警告。「必要なのは戦争を起こさないための平和外交だ」と提起し、「互いにパートナーであり、互いに脅威とならない」とする2008年の日中共同声明に基づき、対立打開のための外交に継続的に取り組むことが大切だと説きました。
高市首相は、同声明は認識していると答弁。尖閣諸島を含む東シナ海などでの中国の挑発的行動などあらゆる分野で日中間の「意思疎通をより一層強化していく」と述べました。
田村氏は、人権を軽視し国際法を破壊するトランプ氏のもとで「今問われているのは、米国言いなりで良いのかということだ」と指摘。在日米軍兵士等による性犯罪が多発し、米軍機が訓練を繰り返す沖縄県などで市民や自治体から強い抗議と日米地位協定改定の声が上がっているなか、会談でこうした問題に言及しなかったのはなぜかと追及。また、会談直後に「核実験の再開」を指示したトランプ氏に対し、「唯一の戦争被爆国として抗議し、核実験をやめるよう要請すべきだ」と求めました。
さらに、トランプ氏が今年の国連総会で、パリ協定による気候変動対策を「世界史上最大の詐欺」と罵倒するなど、気候危機打開のための国際的な取り組みを妨害していると指摘。トランプ氏の妨害をやめさせた上で、日本としても温室効果ガス削減目標を大幅に引き上げるなど気候変動問題に対し責任を果たすべきだと要求しました。
首相は、首脳会談で地位協定を取り上げなかったと認めました。
また、トランプ氏の核実験発言に抗議する姿勢を一切示さず、気候変動に対する発言にも「コメントする立場にはない」と逃げるなど、深刻な対米従属の姿勢に終始しました。
定数削減
共同して たくらみ阻止
自民・維新の政権合意で突如持ち出された衆院議員定数の削減。しかし衆院総定数は戦後80年で最も少ない水準で、人口100万人あたりの国会議員定数は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中36番目の少なさです。
田村氏は、定数削減の「積極的理由や理論的根拠は見いだし難い」というのが2016年の国会論戦の結論だとして、「議論の経緯を無視して、政権与党が突如、定数削減を持ち出すこと自体が問題だ」と批判しました。
しかも維新の吉村洋文代表は9条改憲、大軍拡、「スパイ防止法」制定、医療費4兆円削減など、自民・維新の合意実現の突破口が定数削減だと明言しています。田村氏は「国民の反対意見を国会から排除する宣言にほかならない」と指摘。「定数削減反対の一点で広範な世論を結集し、各党・会派、議員の皆さんとも共同し、危険なたくらみを打ち砕くために全力を尽くす」と表明しました。
衆参過半数割れ国民の審判
裏金・消費税減税応えよ
衆参両院で与党が過半数割れに追い込まれて初の国会論戦。田村氏は「国民の審判をどう受け止めるのか。政治姿勢が問われる」と迫りました。
第一は、「赤旗」が暴いた裏金への無反省に対する厳しい審判です。田村氏は「国民は裏金に関わった議員の重用にも、この問題を幕引きすることにも納得していない」と強調し、説明を要求。高市首相は「それぞれの議員が丁寧に真摯(しんし)に説明責任を尽くしてきた」などと審判を意に介さず、無反省な態度に終始しました。田村氏は、維新との合意で企業・団体献金の扱いを不問に付し、衆院議員定数削減に問題をすり替えたと指摘し、「『政治とカネ』の問題にふたをするのと同じだ」と批判しました。
もう一つの審判は、消費税の減税です。田村氏は、物価高騰が止まらず、実質賃金も前年同月を下回り続け、国民生活が深刻になるなか、自民党が“減税より給付金だ”と主張し参院選で過半数割れとなり、「消費税減税を求める議員が国会の多数となった」と強調。高市首相が給付金は「国民の理解が得られなかったことから実施しない」と表明したとして、「ならば、国民が求める消費税減税を行うことが民意に応える道だ」と求めました。
高市首相は「消費税は税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している」などと述べ、消費税減税を拒否。物価高に無策のまま、国民の苦しみに向き合いませんでした。
田村氏は、この30年間で消費税が3度増税され、法人税率が7回も下げられ、富裕層への減税と税優遇が続いているとし、「空前の利益を上げる大企業や大資産家には減税、食費さえ切り詰める庶民には消費税の重い負担。この税制のあり方をどう思うか」と追及。高市首相は「税制については不断に見直しを進めていく」というだけでまともに答えませんでした。
排外主義・選択的夫婦別姓
多様な幸せ追求社会へ
人権にかかわって田村氏は「排外主義を許さない」、「選択的夫婦別姓」実現をと訴えました。
犯罪や治安の悪化を外国人と結びつける論調が強まっています。田村氏は、そのこと自体が、深刻な差別と分断を生み、いま日本に暮らす外国の人たちに不安をもたらしていると指摘。「こうした主張を政党や政治家が喧伝(けんでん)することで、外国人への恐怖心や憎悪があおられ、外国人やコミュニティーに危害がもたらされることはあってはならない」と迫りました。
高市首相は「外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、政府として毅然(きぜん)と対応する」と述べ、質問に答えませんでした。
選択的夫婦別姓について高市首相は、通称使用の法制化を主張しています。
田村氏は「通称使用を徹底しても、自分の名前を変えて結婚することが強制される」と指摘。「名前はアイデンティティー、人権だ」「名前を変えずに生きていく選択を」と訴える女性たちの声を示し、「そういう人々に二つの名前で生きていけというのか。名前は人格だ。自分の名前のままで生活するには二つの人格を持てということか」とただしました。
高市首相は通称使用の拡大について「連立合意の内容をふまえ与党と緊密に連携しつつ、必要な検討を進める」などと述べ、選択的夫婦別姓に背を向けました。
田村氏は「多様な生き方、多様な家族がそれぞれに幸せを追求できる社会へ、屈することなく進む」と表明しました。

