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2025学童保育研究集会(中) 子どもの権利保障はどう変わってきたか 静岡大学教授 石原剛志さんの話から

2025年11月14日【くらし】

「支援新制度」で進む規制緩和 「生活の場」と「育ち」の位置づけを

子ども・子育て支援制度、こども家庭庁、そしてこども基本法―。子どもの権利保障はどう変化し、どんな問題が浮き彫りとなっているのでしょうか。第60回全国学童保育研究集会の分科会「社会保障・児童福祉、自治体をめぐる政策動向と課題」での、静岡大学教授・石原剛志さんの話から紹介します。(日本共産党子どもの権利委員会副責任者・梅村早江子)

私たちの生活は、賃金、家族による扶養やケア、社会保険や保育・介護・介助など社会保障で成り立っています。

1990年代半ばから、日本型雇用が崩れ、非正規雇用が増え、97年には、夫と専業主婦の世帯数より、共働き世帯数が多数になりました。3世代世帯は減り、末子が7~8歳の共働き世帯の率も、2014年の57・5%から24年に71・8%となりました。学童保育を必要とする世帯は、「人口減少」でも増え続けてきました。

そこで政府は、保育の担い手が家族の外=福祉へ求められたことに対して、株式会社の参入規制を緩和することで対応してきました。

命にかかわる規制をも緩和

その象徴が、15年からはじまった「子ども・子育て支援新制度」です。

乳幼児の保育・教育制度が「多様化」され、認定こども園(四つの型)、幼稚園(新制度外の幼稚園も存続)、保育所、小規模保育事業(A、B、C型)、家庭的保育事業等となり、企業主導型保育事業も加わりました。

この企業型保育事業は、法律上は市町村の認可を受ける必要がない事業です。投入される公金は大きく、助成決定で18年の2365施設、定員5万4645人分から、21年には4223施設、定員10万1028人分と倍増しました。

すでに「地域主権」「地方創生」の名のもとに、国民に保障すべき健康で文化的な最低限度の生活水準である「ナショナルミニマム」の地方転嫁が行われていました。児童福祉施設の最低基準も、国家の最低基準から自治体の条例となり、自治体で引き下げ可能な項目ができました。(続きは電子版で)

https://www.akahata-digital.press/article/article/20251114-0801