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連載「健康豆知識」香害をなくそう(1)

化学物質による影響

平賀典子さんの写真

新潟大学非常勤講師 平賀典子

「香り」。どのようなイメージがありますか? お花やアロマなど良い印象でしょうか。しかし、香り付きの日用品で体調不良を起こす「香害」が社会問題になっています。

香害とは、柔軟剤や消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの強い香りをともなう製品による健康被害のことです。好き嫌いではなく、体臭は含まれません。頭痛やめまい、目や喉の痛み、せき、吐き気などさまざまな症状が起き、「化学物質過敏症」という病気を発症して重症化するおそれがあります。

そのため、「公害」とかけて「香害」という言葉が使われるようになりました。

15年くらい前に、海外製の香りの強い柔軟剤が日本で話題になり、「香りブーム」が起きました。「香水よりも香り長続き」「12週間続く香り」という宣伝文句の製品が出るに従い、被害の声が多くなりました。こうした香りは、「化学物質」なのです。

ここ数年では、「消臭・抗菌」をうたう製品による被害も増えてきています。日用品には香りだけでなく、さまざまな化学物質が使われています。香水と違い、子どもの衣類にも使用されるため、持ち回りで洗う学校の給食着に残留する香りで、体調不良を起こす問題も出ています。

学術機関が全国調査を実施したところ、小中学生の10%が香りで体調不良を経験しており、学年が上がるに従って増加するという結果が出ました。子どもは未成熟なので、化学物質の影響を受けやすいのです。

香りをともなう日用品が化学物質であるという視点を持ち、なるべく減らしていくことが大事です。

2025.11.5(水曜掲載)