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小学校全学年25人学級

山梨県 教室に活気

「先生~、鼻血出た」「先生~、私も配膳当番やりたい」「牛乳きらいだけど飲んでみる~」…。小学校新1年の給食の時間。担任教師は配膳の仕方を教えながら、さまざまな児童に対応していました。

25人学級で授業を受ける小学1年生=山梨県内(山梨県教育長提供)

「これが35人だったら、大変! 25人学級でよかった」。この春、末っ子が入学した広瀬舞子さん=山梨県笛吹市=は、つくづく思いました。

山梨県では2021年、小1に25人学級を導入。毎年1学年ずつ拡大し、今年、小学校の全学年が原則25人以下学級になりました。

甲府市郊外にある市立大里小学校の幡野(はたの)満美さんは小6の25人学級の担任。「一人ひとりの子どもへの言葉かけの回数が格段に増えました」と話します。教員生活30年、全員と1日に1回は話そうと心がけてきましたが、「35人いると、一度も話せない子が出てしまっていました」。少人数学級は、子どもにとって教員との距離感が近く、「ここ教えて」と言いやすい。教員の側も「子どもの“わからない”というつぶやきが聞こえると感じます」と。

同小3年の担任・新津ちはるさんも、「机の間を巡回して全児童のプリントに丸付けができます。時間的、空間的ゆとりがあり、児童のつまずきにすぐに対応することができる」と言います。「手を挙げて発言するのがルールですが、わいわいと発言できる時間がとれるのがいい。多様な意見が出て、授業が活気づきます」。また、25人学級で学年の教員数が増えることにより、業

25人学級について語る(右から)伊藤校長、幡野さん、新津さんと、すがの県議

務が軽減される利点も強調しました。

 

同校の伊藤宏紀校長は「物理的なゆとり以上に、心の余裕を持って子どもに接することができていると感じます。その影響は、さまざまな面でプラスに働いて、すごく大きい」と語ります。幡野さんが「25人はほどよい人数です。もう(35人には)戻れない」と話すと、3人は笑顔でうなずきました。

25人学級が現知事のもとで進んだのは直近6年間ですが、日本共産党のすがの幹子県議は「山梨県は少人数学級を進めるため、教師、保護者などが長い間運動してきた歴史があります」と語ります。(手島陽子)

(1面のつづき)

県民運動 道切り開く

25人学級で笑顔増えた

子ども 勉強わかった 保護者 安心 先生 心にゆとり

山梨県笛吹市で小学6年、4年、1年の3人を育てる広瀬舞子さん(30代)。上の子は2021年に入学。25人学級の第1世代です。「下の子は持病があり、先生の目が届くと安心です。大人数ではうちの子の声はかき消されて、倒れても気づかれないかもと不安だったかも…」と言います。

宅地造成で子育て世帯が急速に増え、児童数が増加する南アルプス市立若草小学校。小5の担任を務める山崎壮さんは、昨年まで35人学級の国立大付属小学校に赴任していました。「25人学級の学校に来て、支援が必要な子に、時間をかけて向き合うことができるようになりました」と。同校の石川和樹校長(60)は、25人学級で「児童の自己肯定感が高くなったり、笑顔が増えたりということは確実にあります」と話します。

県教育委員会が20年度以降毎年行う児童へのアンケート調査では、「先生はほめてくれる」の回答が小1から小5の間で35人学級では1・4ポイント減少しましたが、25人学級では4・5ポイント増加しました(グラフ上)。「先生は勉強をわかりやすく教えてくれる」は、小1から小5の間で35人学級で3・2ポイント減少していました。一方、25人学級では5年生が1・2ポイント増の96・7%(グラフ下)。高学年でもほとんどの子がわかりやすく教えてもらっていると感じていました。

 

25人学級で授業を受ける小学1年生=山梨県内(山梨県教育長提供)

同県では、少子化で自然と少人数になった小学校(全体の45%)と合わせて小4までは全体の93%が25人学級です。県教育庁の担当者は「25人学級導入前と導入後の効果検証データを比較すると、子ども同士の関係、教員との関係、学校の楽しさの数値が上がっています」と解説します。

「保護者の声もあり、25人学級を選択する学校がほとんどです」と。同県は25人学級のほかに、教員が確保できない場合、5~6年生は暫定的に26~30人程度で運用しています。教室が足りない場合などには、国基準の35人学級で常勤1人もしくは短時間勤務2人を加配する「アクティブクラス」の制度があります。支援が必要な児童が多い場合などにも校長の判断で採用しています。

課題は教員確保

一方、教員確保は切実な課題。教員不足で若草小学校の小6(特別支援学級在籍児童除く)は25人2クラス、27人1クラスの学級編制になっています。石川校長は「来年も新入生が多く、小1が5クラスに増える可能性があります。十分な教員数が確保され、5、6年を含めて25人学級が実現することを期待しています」と語ります。

アクティブクラスでは、再任用など非常勤の教員でも対応しており、今年は非常勤の比率が教員全

名取県議

体の13・5%です。長年、県内で教員を務め、非常勤講師として働く大槻孝さん(仮名)は「個別対応が必要な子どもも増えており、非常勤講師の担う役割が大きくなっています。待遇を改善して正規雇用を増やすことが大切です」と訴えます。

日本共産党の名取やすし県議は「非常勤でなんとかカバーする綱渡りの状況が続いている学校もあります。教員数不足は大きな課題。正規の教職員を増やすよう県議会で求めています」と言います。

県議会を動かす

小1への少人数学級が全国に広がる中、山梨県では04年、小1に30人学級が導入されました。翌年、小2に拡大しましたが、当時の県政は小3以降への拡大については「学年進行するのではなく、習熟度に合わせた授業などを行う」と表明。07年、退職教員や保護者らが手を携えて、「すべての学年で30人学級を実現する会」を結成しました。

同会で活動してきた新婦人山梨県本部会長の豊木(とよき)桂子さんは「教師や保護者、県民が一

豊木桂子さん

緒になってあきらめずに、署名を集め、要請行動を続けてきたことが、県政を動かしてきたと思います」と話します。

小中学校や高校の教職員組合も毎年少人数学級の推進を求め請願に取り組んできました。当時の党県議団は「会」と一緒に署名を集め、要請行動に同席し、議会で毎回質問してきました。何年もかかりましたが、次第に他の議員からも少人数学級を求める質問が出されるなど、県民の運動と結んだ党県議団の議会活動が県政と県議会を動かしてきました。

甲府市立大里小学校の伊藤宏紀校長はこう語ります。「政治で動く部分は大きい。文部科学省と財務省には、ぜひ、少人数学級を国として実現してもらいたいです。私たち現場の人間も少人数学級を進めようとするさまざまな動きを応援しています。共産党も含めて、教育を変えるために党派を超えて声を上げていくことが大事だと思います」

今こそ必要

和光大名誉教授 山本由美さん

コロナ禍の2020年、分散登校で実質的な少人数学級を体験し、教師も子どもも「教える喜び」

山本由美さん

「学ぶ楽しさ」を実感することとなりました。全国の教職員、保護者から少人数学級を求める運動が起こり、21年から小学校に35人学級が導入され始めたのです。

欧米では少人数学級が当たり前です。例えば米国シカゴ市では、小学1~3年が28人学級、4~8年(中2)が30人学級です。研究データでも「社会経済的背景が不利な生徒が多い学校において、少人数学級は学力を高める効果を持っている」など、さまざまな効果が確認されています。

学校を統合した後に「荒れ」が生じた学校や、過大規模になった学校で不登校率が大きくなったケースがあります。OECD(経済協力開発機構)加盟国で最低の教育予算水準を、OECD平均並みに引き上げ、教職員を増やして異常な長時間労働をなくし、少人数学級にすることが必要です。

日本共産党の立場

日本共産党はコロナ禍に際し、教職員や保護者らと手を携え、全国で小学校35人学級を実現し、中学校35人学級へ道を開きました。小中学校の本格的な少人数学級の実現を目指しています。異常な長時間労働をなくすために、教職員定数の増員を求めています。