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体育嫌いと呼ばないで~仲間と楽しむ運動文化 小学校教員 川渕和美
(4)ともに楽しむ世界へ(上)

2026年5月22日【くらし】

運動を苦手と感じる子にとって、いや応なしに競争や勝ち負けがつきまとうことも、体育をつらいと思う一因だ。そうなると運動会は「大嫌い」な行事になる。だからこそ、どんな競争観を育む場にするかが問われているのではないか。

運動会、5・6年生混合チームの全員リレー。5年生で出会ったジンは、最初の練習試合で速歩きより遅いペースで走った。疲れる・危ないと言っていたが、話し合う中で「抜かされるかもしれないから、本気を出すのは嫌」と話した。周りも、低学年で大泣きしていたのを覚えていた。「抜かれても大丈夫だよ」「全力を出せばいい。勝ち負けだけじゃない」と励ましの声もあがった。しかし、ジンは「皆さんがゲームの世界の人のよう」と返した。

イラスト 鴨下潤

全力でやった結果なら、悔しくともまた技術を上げて次に臨む。そうやって「勝負を楽しむ」という気持ちを理解できないのだ。0か100しかないジンの世界を表していた。

体育の授業でも不安から動けなくなったが、グループ学習で一つずつその要因を見つけていった。2学期の球技では、パスをよける理由を「ボールが怖い」と話し、手渡しパスがあみだされた。でも「本当は、ボールを持ったら狙われるでしょ。それで止められるのが嫌だ」と私にぽろり。競い合いに踏み出せない姿があった。それでも守備で「初めて止めた!」と、喜びを興奮しながら語った。

ジンは、3・4年生で不登校も経験した。「できない」「うまくいかない」ことに葛藤し、もしつまずいたり負けたりしたら、どうなるかわからない不安とたたかいながら、さまざまなことにガードをはり、身を守っていたのだ。

3学期の体育では、仲間との教え合いでだんだん上手になったことを振り返って、「これは今までのことがあったおかげ」と感想に書いた。ジンの小さな変化を感じつつ、6年生になり、運動会のリレー練習を迎えた。(金曜掲載)