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春見つけた! スキマ植物 瀬尾一樹
(2) 子孫を残すしかけ

2026年4月14日【くらし】

サクラの時期も、だんだん終わりに近づいてきました。あれだけきれいだったサクラも、散ってくると寂しいものですよね。

ところで、植物の花は、受粉して種をつけ、次世代に子孫を残すためのものです。とすると、あれだけ花を咲かせていたサクラの木がサクランボだらけにならないのは、一体どうしてでしょう?

一つの答えとしては、サクラの木は同じ遺伝子の花粉だと実をつけないためです。桜並木に植えられるサクラの多くは、ソメイヨシノという園芸品種の枝を継いで殖やしたもの。ソメイヨシノ同士の花粉では実がならないため、受粉しても実をつけずに花が散るだけというわけです。他の園芸品種の花粉がつけば、実がなることもあります。(おいしくはありません)

ごく短い寿命 仲間もいない

サクラ以外にも、雄株と雌株が分かれていたり、おしべとめしべを別々に成熟させたりと、植物は自分の花粉で実がならないように、何かしらの工夫をしているものが多いです。

しかし、道ばたに生える小さな草たちは、他に仲間のいないまっさらな空き地で芽生えることもあります。その上、寿命はその年の夏や冬までと、ごく短いものが多いです。そのため、道ばたの草たちは次世代をつなぐために、自分の花粉で世代をつなぐ様子がよく見られます。

たとえば、ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)の花は、前に突き出ている花びらを押し下げるとおしべやめしべが出てくるのですが、花が咲き始めた時点で、おしべとめしべ同士が触れ合っています。これだと、おしべの花粉が出てくると同時に、自分の花粉で受粉してしまいますね。

しかし、ヤハズエンドウにとってはこれでも問題ないようです。花が終わると、サヤエンドウのようなさやに入った豆が、たくさんできます。

他にも、道ばたの花を見ていると、開いて間もないうちに自分のおしべとめしべが接してしまっているものが、少なくありません。森の中に生えるような植物たちと違い、積極的に自分の花粉で受粉して種をつくります。

来ないなら…自動自家受粉

道ばたでかわいらしい花を咲かせるオオイヌノフグリは、花の真ん中からまっすぐ伸びるめしべと、その両側から腕のように2本伸びるおしべが特徴的です。こちらは晴れた日の朝に花が開くのですが、開いてすぐ見ると、おしべとめしべは触れ合っていません。

 

そのままお昼すぎまでその状態が続きます。しかし、午後2時、3時とたって日が傾いていくと、徐々に両側のおしべが内側に曲がっていき、やがてめしべに触れてしまうのです。

これは「自動自家受粉」という現象で、おしべとめしべが能動的に動いて受粉してしまうというもの。オオイヌノフグリの場合、お昼すぎまでは自家受粉せずに、他の花の花粉を体にくっつけた虫がやって来るのを待ちますが、結局来ないとわかると、自分の花粉で受粉してしまいます。他の花の花粉を求めつつも、最終的には自分の花粉で子孫を残すことができるという二段構えの戦略です。なんて合理的なのでしょうか。

他にも、道ばたの花には子孫を残すための、さまざまなしかけがあります。小さな花たちがどのようにして子孫を残そうとしているのか、ぜひ想像しながら観察してみてください。

(樹木医・インタープリター)

(火曜掲載)