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「オタクによる反戦デモ」になぜ集ったか
反戦は特撮・アニメの原点 クリエーターら思い語る

推しのいる世界を戦場にするな―の呼びかけに2000人(主催者発表)が、「好き」を持ち寄って国会前に集った「オタクによる反戦デモ」(28日)。大ヒットテレビアニメのプロデューサーや著名な漫画家、脚本家らが次々に思いを語りました。司会は声優の岡本麻弥さんと俳優の城戸啓佑さん。アンテナ高く、オリジナリティーを作品に込めるクリエーターたちは、いまなぜ結集し、何を語ったのか―。(内藤真己子)

撮影に応じる「オタクによる反戦デモ」の主催者と発言者=3月28日、国会正門前-

戦争を体験して

「平和でないとオタク活動はできません だから絶対に戦争反対!」。2週間前にデモを呼びかけ実現させた特撮ヒーロー好きの高橋裕行さん(58)=群馬県高崎市=が、仮面ライダーの扮装(ふんそう)で「変身ッ!」と叫び、集会は始まりました。反戦・平和が特撮やアニメの原点との発言が相次ぎました。

『サルでも描けるまんが教室 サルまん』の作者の一人で「編集家」の竹熊健太郎氏は、「月光仮面」の原作者・川内康範氏は従軍し、漫画家の手塚治虫氏は大阪大空襲で被災したとのべました。「(特撮や漫画の)ルーツにあたるクリエーターは戦争を体験し一様にあんな思いは二度としたくないというのが強固にある」と指摘します。「高市早苗首相は、戦争体験がないから、日本をまた戦争できる国にしようと言っている。あんな思いを二度としたくないというのは、作品や言葉で継承していくしかない」と訴えました。

『ウルトラマンガイア』などを手がけた脚本家の古怒田(こぬた)健志さんも、「日本初の特撮怪獣映画『ゴジラ』は従軍経験者の本多猪四郎監督と、戦時中、戦争賛美映画を作らされ続けた円谷英二特技監督が思いを込めて作った反戦映画で、それが日本特撮の出発点」と強調します。

「(軍拡競争は)血を吐きながら続ける悲しいマラソン」と語る『ウルトラセブン』の主人公のせりふを紹介。「『サイボーグ009』も『機動戦士ガンダム』も間違いなく強い反戦の意思で作られた。63年の歴史があるテレビアニメには戦争を賛美した作品は一本もない。そういう文化を享受して育ったわれわれオタクにとって反戦を唱え、態度で示すことは義務と言っていい」と力説しました。

ラジオパーソナリティーのキニマンス塚本ニキさんは、旧満州で育ち嫁ぎ弟を戦争で失った亡き祖母には戦争トラウマがあり、「戦争は絶対にあかん」と語り続けたと告白。「(今後)あの頃は戦争だったから仕方なかったと言わないために、できることをみんなで頑張ってやっていきましょう」と呼びかけ、大きな拍手に包まれました。

「戦争反対」「平和を守れ」「オタクは最高」とアピールする人たち=3月28日、国会正門前-

看板を次々投稿

同デモは、著名漫画家が描いた漫画やイラスト付きの告知バナー(看板)が次々とSNSに投稿され大きな話題になりました。デモではそれを集めたのぼり旗が国会前にはためきました(写真下)。

暴走族をモチーフにした『疾風伝説 特攻の拓』の作画を担当し、実行委員に名を連ねた漫画家の所十三氏は、史上最大と言われた恐竜の標本が第2次世界大戦で破壊された歴史を引き、「好きなモノを持っている人間は戦争反対を叫ぶしかない」と訴えます。

バンド「渋さ知らズ」ボーカルで、映画『千と千尋の神隠し』にも出演した玉井夕海さんは、安保法制のときは芸能人がデモの場に立つと仕事がなくなると言われたことを紹介し、「10年前に比べたらいっぱい立ち上がってくださってうれしい。ヒーローものをみて育った皆さんが、ヒーローみたいになって戦争は嫌だ、子どもを殺さないで、武器は売らないでって言ってくれるのは本当にうれしい」と語りました。

ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」など大ヒットアニメのプロデューサー・植田益朗氏も登壇しました。「人の優しさ、人の気持ちがわかる人間になってほしいとアニメを作っている。戦争中は戦意高揚アニメがずいぶん作られた。そういう形でアニメが利用されるのは違う。そんな時代にならないために一緒に手を携えてアピールしていきたい」と訴えます。

また植田氏は「戦争反対とSNSで書いただけでクレームが来たり、いじめにあうような状況はちょっと考えられない」と警鐘を鳴らしました。

こうした風潮を鋭く批判したのはゲームデザイナーで漫画家の井上純一氏です。ナチスのホロコーストを生き抜いた作家エリ・ヴィーゼルの言葉「中立は被害者ではなく加害者を利する。沈黙は苦しめられる者ではなく、苦しめる者を励ます」を引き、「中立のふりをして反戦を叫ぶのをやめさせようとするのは、戦争を進める側に加担している」と指弾。「デモに行っても世の中は変わらない」という言動に、「向き合ったものすべてが変えられるわけではないが、向き合わなければ何も変えられない。まず発言しましょう。戦争に向き合い発言しなければならない」と強調しました。

集会にはミュージシャンの後藤正文氏ら、数多くの著名人がメッセージを寄せました。演劇評論家の犬丸治氏は、戦前、演劇関係者が弾圧され、戦争に協力させられた歴史にふれ、「すべての戦争、これから市民を戦争に導こうとするあらゆる企て、日本国憲法、とくに前文、憲法9条を改悪する動きに断固として反対し声を上げ続けていく」と決意を語っています。