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ちょっと待って!! その野生動物触って大丈夫?
アニマルカフェのリスクは  WWFジャパン調査

2026年2月11日【くらし】

 カワウソ、フクロウ、ハリネズミ…。野生動物に触れられる人気の「アニマルカフェ」。かわいさや癒やしを求めて訪れる人も多いでしょう。でも、ちょっと待って。野生動物との触れ合いにはリスクも伴います。WWFジャパンの調査から考えてみました。(堤由紀子)

「アニマルカフェにリスクは確実にある、と思っていました。ただ、どんな動物がどれぐらいいるか、無制限に触るのは衛生上どうなのかなど、具体的なところがわからなかった。こうしたリスクを明らかにすることができました」

こう話すのは、WWFジャパン自然保護室野生生物グループの浅川陽子さん。昨秋に発表した「野生動物を扱うアニマルカフェのリスク緊急評価」(写真)の調査に関わりました。

ここ数年、動物の適正な取り扱いについて定める「動物愛護管理法」改正に向けた議論が進んでいました。触れ合い利用も論点の一つだったため、調査に踏み切りました。

調査結果では、登録事業者のうち展示業に加えて販売業の登録もしている事業者が76%にも及びました。展示個体のうち、国際自然保護連合「レッドリスト」の絶滅危機種が31種(15%)でした。(グラフ1)

さらに、コツメカワウソやフタユビナマケモノなど、ペットショップや展示即売会ではほとんど流通しない種も多く確認されました。「飼育ができない種はアニマルカフェで触れ合う」という消費者ニーズの受け皿として機能している可能性が高い、と分析しています。

感染と傷害

調査をして驚いたのは、人に対する感染リスクや傷害リスクでした。動物との接触で得たサンプルから、腸管出血性大腸菌や薬剤耐性菌といった病原性細菌が検出されたのです。「サルモネラ属菌は爬(は)虫(ちゅう)類が多く保有するという知識はありました。でも、こうした深刻なものが出るとは…」

また、英国の動物園実施に関する基準には「この動物に触らせるのは危険。触らせる場合は必ず飼育員が立ち会い、監視下で」というものがあります。ここにはカワウソやナマケモノ、フクロウなども含まれます。

こういった「触るのは危険」、いわゆる「触れ合いに不向きな動物たち」にあたる「ハイリスク動物」が36%を占めていたことにも注目しています。

ところが、ハイリスク動物の触れ合いに必要な「常時立会・監視」や「非接触展示」といった対応がされていたのは、わずか2割弱。8割以上の施設は、どちらも実施していませんでした。(グラフ2)

例えばフクロウ。いつもたたずんでいて、攻撃するイメージを持っておらず、「簡単に触れるかも」と思ってしまうかもしれない…。アニマルカフェは動物に触るために足を運ぶ場所。動物園との決定的な違いはそこにあります。

「でも、基本的には、どの動物も完全に安全ですよとは言い切れない」と浅川さん。そこで欠かせないのが触れ合い方と傷害リスクの説明ですが、施設の4割強はどちらも実施していませんでした。(グラフ3)

啓発と共有

WWFジャパンではこれまでも、さまざまな働きかけや啓発を行ってきました。

消費者には、野生動物のリスクを知ってもらい「飼わない」という行動変容を促すキャンペーン。立法者には、法律改正にあたっての情報提供を続けています。

事業者には▽絶滅危機種を野生から捕獲することは避ける▽動物の入手先や取引経路の把握(グラフ4)など、環境に負荷を与えない調達を呼びかけています。

その一つとして、今回の調査結果を一部事業者にも共有しました。「事業のあり方を見直してほしい」とも。「野生動物と触れ合うとはどういうことか、もっと深刻に考えてほしいと思います。動物の生態や習性に配慮する動物福祉の問題とあわせて、人間への影響を知ってほしいです」

【調査の概要】WWFジャパン、北海道大学大学院獣医学研究院法獣医学分野が主体となり、2025年6~7月に実施。

▽統計調査…東京都と大阪市のカフェの営業所数や事業者の登録業態。

▽店舗の実地調査…東京近郊25施設で目視やヒアリング。動物との接触で得られたサンプルも解析。

報告書はWWFジャパンのサイトからダウンロードできます。