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床人生 今井晶子(5)
“まち”のゆくえ

2025年12月30日【くらし】

床探しを始めて10年ほどたちました。まさか10年も「床、床」言う人生を歩もうとは。

探し始めた頃はあと10年、いやせめてあと5年早ければもっとあっただろうに…と悔やみ焦ったものです。純喫茶や商店街、昭和の面影は徐々に減り、この数年加速した気がします。

遠征すると、リニューアルされた綺麗(きれい)な駅が存外多いことに驚きました。リニューアルされた駅は周辺も再開発されており、昭和の街並みは消え去っていました。最初のうちはその風景に打ちひしがれましたが、だんだん駅から少し離れたところに商店街などが残っていることがわかってきました。駅を円の中心として離れたところに身がある、いわば駅ドーナツ化現象です。

昭和な床を求める身としてはいつまでも残っていてほしい、けれど施設が新しくなることで、例えばバリアフリーの充実など良いこともありますし、ジレンマを感じます。

昭和消滅現象の加速を私が感じる要因の一つは、駅の再開発かもしれません。東京でもすでに再開発がスタートしている主要駅もあれば、発表された駅も。その再開発スパンを見ると完成は約20年後。その間街はどう変わっていくのでしょう。

商店街を巡っていると、前身は戦後の闇市なことが少なくありません。利便性のある場所に人が集まる。集まれば人や物を運ぶためにそこを中心にして交通も整っていく。長い年月をかけ形成されていく街を想像します。

郊外に大型ショッピングモールをよく見かけます。私の出身地にもあり、人は集まります。一極集中です。集まるのですが、不思議なもので、その周辺に街が形成されることはあまりないように感じます。“インスタント街”というわけにはいかなさそうです。

どういう条件が整うと街は形成されるのだろう…と最近はそんなことを考えています。新しいものも古いものもそれは人も、混然となり生活する場所。都市ではなく“まち”。

振り返るとこの10年は、床を通してまちを見続けた10年でもありました。皆さんの思い描くまちはどんな“まち”ですか?

(グラフィックデザイナー)

(おわり)