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日本共産党

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赤旗

食料・農業・農村基本計画の策定にあたっての申し入れ

2025年3月3日 日本共産党国会議員団

 昨年夏の米不足と、続く米価の高騰は、国民生活に深刻な影響を与えている。同時に、米農家だけでなく酪農など多くの農家が引き続き採算割れの暗闇の中にあり、農家の離農・廃業と農地の荒廃が急速に拡大している。

 この状況のもと、昨年改正された食料・農業・農村基本法に基づく最初の「食料・農業・農村基本計画」がことし3月、策定される。

 しかし、政府の公表した「基本計画骨子(案)」は、国民の食への不安と生産者の苦難を解消するものになっていない。食料安全保障をうたいながら、「食料自給率向上」に一言も触れず、大規模化・スマート化・輸出促進にすがって、財政による農家への下支えを回避しようとする政策である。これでは、政府のいう、農業・農村の立て直しを図るための「大転換」には程遠いといわざるを得ない。

 農業・農村の危機を打開するためには、大規模・小規模を含めて多様な農業者が希望をもって農業に取り組み、農村で暮らせる条件を政治の責任で保障すること、それを実現するため予算を大幅に増額することがどうしても必要である。

 したがって基本計画の策定にあたり、以下の点を反映するよう申し入れる。

 

1.計画の決定前に国会での審議を行い、基本計画に反映すること。

2.食料自給率の向上を農政の最大の目標に位置づけ、当面50%に引き上げる目標を掲げること。そのための実効ある計画策定と予算の確保、達成度の検証、結果の国会への報告、政策の見直しを行うこと。

3.農業者に生産コストにみあう農産物価格を保障するとともに、環境維持や景観保全など多面的機能の維持に必要な手厚い所得補償を実施すること。

4.米不足と価格の高騰は、政府が米の需給に対する責任を放棄して市場まかせにする失政の結果である。生産抑制・低米価政策を改め、ゆとりある需給計画で米の増産を図り、備蓄の拡大と柔軟な放出で需給と価格の安定に政府が責任をもつこと。「飼料用米中心の生産体系を見直す(骨子案)」のではなく、飼料用米を中心に据えたうえで、さらに青刈りとうもろこし等の生産振興を図ること。
 赤字が続く酪農に対する緊急の経営支援策を行うとともに、採算割れを防ぐ新たな経営支援制度を設けること。

5.規模の大小、専業・兼業を問わず農業の担い手に位置付けること。担い手の激減に歯止めをかけ、増加に転じることを目標に掲げ、次代の担い手の確保・育成を国家プロジェクトとして位置づけて取り組むこと。新規就農者の定着までの生活費の支援、研修・教育機関の整備、指導者の育成、農地や住宅・資金・販路の確保などを総合的に支援すること。

6.農業分野における女性の経営の意思決定への参画を推進し、家事・妊娠・出産・育児・介護などの負担軽減に向けた農作業補助の仕組みを国の制度として整えること。

7.地産地消、有機農業の推進のための具体策を明確化すること。その核として地場産の農産物、さらに地場産の有機農産物の学校給食への採用に関する数値目標を掲げ、自治体への財政的支援を明記すること。

8.国民一人一人が食料を入手できる「食料への権利」を明記し、被災者や生活困窮者、買い物が困難な地域の住民などが食料を手にできる制度を設けること。

9.国は、法43条2項に基づき、農業振興策だけでなく医療・教育・介護・福祉や生活物資の供給など、荒廃し続けている農村の生活基盤の整備を本格的に行うこと。農業・農村を担当する国・自治体の行政職員の抜本増を図ること。地域間格差を解消するため、全国町村会が提唱する「農村価値創生交付金」を創設し、大規模に予算措置すること。

10.「災害による離農者を一人も出さない」ことを基本に、被災農業者に発生地域や規模に関わりなく復興・再建を支援する制度を日頃から整えること。

11.農林水産予算は、「現行の制度の見直しや見直しに伴う既存施策の再編により得られた財源を活用(骨子案)」するのではなく、軍拡・大企業バラマキ偏重の予算の構造全体を見直し、数兆円規模の新たな予算の上乗せを明記すること。

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