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日本共産党

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赤旗

厚生労働大臣 福岡資麿 殿
こども政策担当大臣 三原じゅん子 殿

ケア労働者の賃上げに向けた財政措置を求める緊急要請

2024年12月9日  日本共産党国会議員団

 介護・福祉・医療・保育などのケア労働は国民の人権と尊厳、命と健康を守るものであり、そこに従事する人の賃金・処遇は"公定価格"により決められています。ところが、ケア労働者の賃金は長らく他産業より低い水準におかれ、低賃金や長時間労働を苦にした離退職の増加と人員不足が大問題となってきました。さらに、この間、物価高騰のもとで賃金低迷に拍車がかかり、ボーナスカットなど賃下げまで横行する異常事態が起こっています。

 ケア労働者の賃金・処遇の抜本的改善を図るため、国による財政措置を求めます。 

1、国の責任で介護・障害福祉の職員の賃上げを進め、訪問介護の基本報酬を元に戻すこと

 介護では、人材不足と事業所の休廃止等による提供基盤の危機が進行しています。

 介護関係9団体の調査によれば、介護職員の2024年度の賃上げは正規で2.52%と、今年1~10月の物価上昇率3.0%に届かず、春闘相場(中小企業4.45%)を大きく下回っています。政府は補正予算で、常勤介護職員1人当たり5.4万円の一時金を出せるよう支援するとしていますが、必要なのは一時的な対応でなく、低すぎる賃金自体の抜本的引き上げです。

 政府が強行した訪問介護の基本報酬削減により、上半期の訪問介護事業所の倒産が過去最多を記録するなど、「介護崩壊」が一層加速する事態も起こっています。

 介護保険の国庫負担増などを行い、国費による介護・福祉職員の賃上げ助成を進め、国の責任で「全産業平均」並みに引き上げることを求めます。訪問介護の基本報酬をすみやかに元に戻し、すでに減額された分を補填する措置をとるべきです。あわせて、介護・福祉職員の労働条件改善にむけた介護報酬・障害福祉報酬の臨時改定も行うよう求めます。

2、医療従事者の賃金カットにストップをかけ、賃上げ・労働条件改善をはかること

 医療では、全国の医療機関で年末一時金(ボーナス)の大幅引き下げ回答が続出するなど、物価高騰下での賃金切り下げが各地で起こっています。医療従事者の"大量離職"により、地域の基幹病院で、手術の実施や救急搬送の受け入れが困難となったり、入院患者の制限をせまられたりする状況も生まれています。

 事態の大本にあるのは、診療報酬抑制や物価高騰による医療機関の急激な経営悪化であり、多額の赤字や債務返済に苦しんでいる医療機関も少なくありません。政府は2024年度の報酬改定で「ベースアップ評価料」を導入し、補正予算では同「評価料」の対象となった医療機関への追加支援を行うとしていますが、これらはベースアップを行う医療機関に対する加算・支援であり、今問題となっている賃金カットの打開策にはなりません。同「評価料」には、医療従事者のすべてが対象とならないなどの問題もあり、賃上げの効果は限定的との指摘が現場からは出されています。

 政府の責任で、すべての医療従事者を対象とする、全額公費による賃上げ支援を実行することを求めます。医療機関が物価高騰や人件費増に対応できるようにする経営力の強化を、患者負担を増やすことなく行うための公的支援、診療報酬の臨時改定も実施すべきです。

3、保育士の給与の着実な引き上げと、職員配置基準の見直しを行うこと

 保育士の平均給与は「全産業平均」より月7万円低い水準です(福祉保育労調べ・2023年)。政府は、人事院勧告にもとづき24年度の保育士の人件費を10.7%引き上げるとしていますが、着実で継続的な賃上げが必要です。保育の質を高め、職員の休憩・休暇・事務時間などを保障できるよう、職員配置基準の引き上げ、常勤職員の増員を求めます。

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