23、「人口減少」
子どもを産み育てることを困難にしている問題を解決し、個人の自由な選択ができる社会に
2024年10月
自公政権は「異次元の少子化対策」などと言っていますが、「児童手当の所得制限の撤廃と高校生までの支給延長」程度の「低次元」な子育て支援策しか提示できず、その財源も示せません。
子どもの生まれる数が減り、人口減少社会になったのは、労働法制の規制緩和による人間らしい雇用の破壊、教育費をはじめ子育てへの重い経済的負担、ジェンダー平等の遅れなどくらしと権利を破壊する政治が、日本を"子どもを産み、育てることを困難な社会"にしてしまったからです。
子どもを産む、産まない、いつ何人産むかを自分で決めることは、大切な基本的人権です。リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)こそ大切にしなければなりません。「少子化対策」と称して、個人の尊厳と権利を軽視し、若い世代、女性に社会的にプレッシャーをかけるようなことがあってはなりません。多様な家族のあり方やシングルなど、どんな生き方を選択しても個人の尊厳と権利が尊重される社会にする必要があります。
同時に、政治のあり方が大きな要因となって、子どもの数が減り続けることは克服しなければならない日本社会の重要な課題です。「対策」をすべきは、子どもを産み育てることへの困難を大きくした政治を変えることです。
子育て支援を抜本的に拡充し、男女ともに家族的責任を果たせる働き方への改革をすすめます
重い教育費負担の軽減をはじめ子育て支援を抜本的に強化します
――高等教育の無償化に向け、大学・短大・専門学校の授業料を国の責任でただちに半額にし、無償化を計画的にすすめます。他の先進国にはない入学金制度をなくします。奨学金は、給付制中心に改めるとともに、貸与奨学金の返済を半額に減らします。
――学校給食費を無償化します。憲法26条は義務教育を無償としており、国の責任で無償化すべきです。
――高校卒業までの子ども医療費無料化を国の制度として実施します。
――子育てにかかわる「人」を抜本的に増やします。教員定数の抜本増を進め、長時間過密労働を解消して、残業代不支給制度を廃止します。教員の働き方を変えて教員不足を解決します。保育士配置など、保育の最低基準を改善します。
――一人一人にゆきとどいた教育のため、少人数学級を抜本的に前進させます。
――子どもの権利条約にそくして、子どもの権利を尊重します。行き過ぎた競争教育を是正します。
男女ともに家族的責任を果たせる働き方に改革をはかります
子育てしにくい社会を変えるためには、賃上げと長時間労働の解消など「人間を大切にする働き方改革」が必要です。それとともに、育児休業をはじめとした子育て中の労働者とその家族の生活をささえ、権利を守る仕組みを整備する必要があります。
――育児休業中の生活を保障する休業補償を拡充します。
女性の育休取得率は9割をこえていますが、男性はわずか14%であり、その5割超が育休取得期間は2週間未満です。収入減少への不安が取得できない理由の一つになっています。育休中の休業補償は、1年間は休業前の手取りの所得を補償する水準に引き上げます。
――子育て中の労働者への残業や転勤の制限など配慮・規制を行います。
子育て中の労働者の残業は本人同意を原則とします。単身赴任や長時間通勤を伴う転勤は本人が希望する場合以外は原則禁止します。短時間勤務制度は、小学校入学前まで延長し、所得補償の制度をつくります。深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。
「少子・高齢化」を口実にした社会保障削減に反対します
自公政権は、この間、「少子・高齢化」による財政危機を言い立て、世代間分断の攻撃を繰り返していますが、日本の社会保障支出(対GDP比)は欧州の国々に比べれば低水準であり、"自己責任の国"と言われるアメリカよりも少ないのが実態です。
子どもにも、若者にも、高齢者にも、国民のくらし全体に冷たい国――そうした政治を転換してこそ、真に持続可能な社会を実現できます。
――「少子・高齢化」を口実にした社会保障費削減の攻撃をやめさせ、社会保障・教育を経済力にふさわしく拡充します。