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日本共産党

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赤旗

15、性的マイノリティー・LGBT/SOGI

性的マイノリティーの人たちの人権と生活向上のために

2024年10月

 日本共産党はLGBT/SOGIに関する差別のない社会をめざし、性的マイノリティー(少数者)の人たちの人権と生活向上のためにとりくみます。

 どういう立場や分野の問題であれ、マイノリティー(少数者)の人たちが肩身の狭い思いで生活せざるをえなかったり、あるいは差別や偏見のためにありのままの自分を肯定できなかったりすれば、それは健全な社会とはいえません。逆に、マイノリティーといわれる人たちが暮らしやすいほど、その社会のすべての構成員にとっても暮らしやすい社会であるといえます。

 とくに性的マイノリティーをめぐっては、問題が、ふだんほとんど公然と語られることのない性意識・性行動にかかわる事柄であり、また、当事者がカミングアウト(公表)しなければ事態が表面化しないために、〝最後のマイノリティー〟といわれてきました。しかし、この間、性の多様性を認め合い、性的マイノリティーへの差別をなくし、誰もが個人の尊厳を尊重される社会の実現を求める運動が広がり、行政や社会を大きく動かしてきました。

 日本共産党は綱領に「性的指向と性自認を理由とする差別をなくす」と掲げ、➡2021年総選挙政策「ジェンダー平等の日本へ いまこそ政治の転換を」(2021年10月1日)の中でも、同性婚の実現やLGBT平等法の制定を盛り込みました。

 この公約の実現へ、全力を尽くします。

※LGBTとSOGIの用語について

 LGBTは、レズビアン(女性同性愛)、ゲイ(男性同性愛)、バイセクシャル(両性愛)、トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性とは異なる性を自認する人)の英語の頭文字で、性的マイノリティーの総称として使われています。

 さらに多様な性的指向・性自認を含む表現として、LGBTs(複数形のs)やLGBTQ+などの言葉が使われることもあります。Qはクィア(規範とされている性のあり方以外を包括的に表す言葉)やクエスチョニング(自分の性のあり方について分からない・決めていない等の人の意味)の頭文字です。+はそれ以外にも性のあり方は多様であることを示しています。

 SOGI(ソジ)とは、セクシャル・オリエンテーション(SO=性的指向)とジェンダー・アイデンティティー(GI=性自認)の頭文字から作られた言葉です。性的マイノリティーの人も、異性愛者の人も、すべての人の多様な性的指向・性自認を認め合おうという意味で使われるようになっています。

同性婚を認める民法改正を行います

 現在の民法や戸籍法は男女の結婚を前提にしており、同性婚を認めていません。そのため、同性カップルは相続権や税金の配偶者控除などの法的・経済的な権利が認められていません。病院で家族としての面会や付き添い、手術の際の同意判断が許されないことなども問題になっています。異性カップルであれば抱えなくてもいい物理的・心理的な負担が、同性カップルには重くのしかかっています。

 2019年2月14日、日本で生活する13組の同性カップルが、「同性カップルが結婚(法律婚)できないのは憲法違反だ」と、東京・札幌・大阪・名古屋で一斉に国を提訴しました。同年9月には福岡でも訴えを起こし、2021年には東京で二次訴訟も始まりました。

 初の判決となった札幌地裁判決(2021年3月)は、同性婚を認めない現行の民法などの規定を「違憲」と判断しました。

 性的指向の違いでもたらされる多くの差別を憲法14条の平等原則に照らして不合理だとし、性的指向は「性別、人種などと同様」に自分の意思によって選択や変更ができない個人の性質であると指摘しました。同性カップルと異性カップルの違いは、変えることのできない性的指向によるものです。ところが異性カップルは結婚によって法的な地位や権利を受けることができているのに、同性カップルはその一部さえも受けることができない。このことを「合理的根拠を欠く差別的な取り扱いに当たる」(判決)と解決を求めたのです。

 国側は裁判で、〝同性愛者でも異性との結婚は可能であり、現行制度は差別でない〟と主張しました。個人の性的指向を否定し、望まない結婚を事実上強いる暴論です。判決は、この国の言い分をきっぱりと退けました。差別を押し付ける現行制度に固執する国の態度に道理はありません。

 2024年9月現在、札幌、東京(一次・二次)、名古屋、大阪、福岡と6つの地裁判決が言い渡され、そのうち5つが、同性婚が認められない現在の民法などを違憲と断じています。唯一「合憲」とした大阪地裁判決も、国会の立法不作為が続けば違憲になる可能性を指摘しています。

 初めての2審判決となった2024年3月の札幌高裁判決では、あいつぐ地裁判決からさらに進んで、同性婚を認めない民法などは「法の下の平等」を定めた憲法14条だけでなく、家族関係における個人の尊厳と両性の平等を定めた憲法24条にも違反するとの判断を示しました。「性的指向は生来備わる性向であり、社会的には異性愛者と同性愛者それぞれの取扱いを変える本質的な理由がないといえ、同時に、その個人からみれば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成し得るものというべきである」(判決)と述べました。

 同性婚を認めないことは憲法に反する――これが揺るぎようのない到達点です。

 同性婚を認めることは、世界の潮流となっています。1989年にデンマークで初めて、同性カップルに異性カップルが結婚している場合とほぼ同等の権利を認める「登録パートナーシップ制度」ができました。2001年に、オランダで同性婚が実現しました。この流れは、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア、そしてアジア(台湾)にも広がり、2024年6月現在、38の国・地域で同性婚が可能になっています。G7(先進7カ国)で、国レベルで同性パートナーへの法的保障がないのは日本だけになっており、国連人権理事会などから人権侵害であるとの指摘を受けています。(参考:「一般社団法人Marriage For All Japan - 結婚の自由をすべての人に」のホームページ)。

―――日本でも同性婚を認める法整備に踏み出すことを求めます。2019年6月、日本共産党を含む野党3党が、性的指向にかかわらず平等に婚姻が認められる「婚姻の平等」を実現する法案を国会に提出しました。

2023年3月には日本共産党として同性婚の法制化を柱とした婚姻の平等を実現する法案を参院に提出しました。この法案の実現に力を尽くします。

同性カップルの権利保障をすすめるパートナーシップ条例・制度を推進します

 パートナーシップ制度とは、制度を導入した自治体の中で、同性カップルにも異性カップルが結婚している場合とほぼ同等の権利を認めるものです。公営住宅への入居、緊急時の病院での面会などで、親族同様の扱いを受けることが可能になります。日本では2024年6月28日現在、459自治体、総人口の85.1%をカバーするまでに広がっています((c)渋谷区・認定NPO法人 虹色ダイバーシティ 2024)。

―――2017年7月に発足した「LGBT自治体議員連盟」に、日本共産党の議員も参加しています。パートナーシップ条例・制度を、引き続き推進していきます。

LGBT平等法(差別禁止法)の制定をめざします

 LGBT.SOGIについての施策が一定前進し、社会的な認知が広がってきたとはいえ、当事者がかかえる困難は依然として大きなものがあります。意図的な同性愛嫌悪(=ホモフォビア)も放置できませんが、性的マイノリティーについて関心や知識がないことからくる差別と偏見にたいする当事者の苦痛はたいへんなものです。

 日本はG7で唯一、同性婚が認められておらず、性的少数者の差別禁止を明記した法律もありません。2023年、G7サミットが日本でおこなわれる際に法律制定の機運が高まり、2023年6月、国会でLGBT理解増進法という法律が成立しました。

 しかしこれは2021年に超党派で合意していた案からも大きく後退し、「これでは逆に差別を助長する」という声が上がる重大な問題を含んでいます。

 それは法律の制定過程で自民党内から、「差別禁止でなく、もう少しおおらかな形で」との声や、「この法律ができたら"心は女性"と言えば女性トイレに入れるようになる」などといった議論が持ち込まれたためです。

 2021年当時の超党派案にあった「差別は許されない」という文言は、自民・公明党の案で「不当な差別はあってはならない」に後退させられました。「性自認」を「性同一性」と置き換えたことも重大です。どちらも英訳では同じ言葉ですが、「性同一性障害」のように医学分野で使われてきた言葉にあえて置き換えることで、本人の自己認識を尊重せず、「障害」と診断された場合のみ当事者として認める恐れなど、対象が狭められかねません。

 さらに重大なのは、国会での採択直前に、自民・公明案をベースに日本維新の会と国民民主党が提出した修正案によって、「留意事項」という条文が追加され、「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意」と明記されたことです。性的少数者の権利を守ることが、多数者の安心を脅かすかのような認識に立った「修正」が、国会多数によって可決されたのです。日本共産党、立憲民主党は同法案に反対しました。

 ジェンダー・アイデンティティー(性の自己同一性に関わる性自認)は、個人の尊厳に属するものとして尊重されるべきものです。

 国際的な人権基準の発展の中で、性自認のありようを病気とみなす「病理モデル」から、本人の性自認のあり方を重視し尊重する「人権モデル」への移行がすすんでいます。現在、日本では法的な性別変更の要件を定めているのは「性同一性障害特例法」ですが、生殖機能をなくし、変更後の性別の性器に近似する外観を備える手術が必須とされています。しかし、体に深くメスを入れ、場合によっては命にもかかわる治療・手術を、法律上の性別変更の要件として強要することは、人権上、大きな問題があります。日本共産党は従前から、性別変更の要件について、「病理モデル」から「人権モデル」への移行にふさわしいあり方を検討する方向を表明してきました。

 戸籍上の性別変更には生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする要件について、2023年10月、最高裁判所大法廷は「意思に反して体を傷つけられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として憲法違反の判断をくだしました。2024年7月には、広島高裁が、外観を似せるための手術要件についても、「手術が常に必要ならば憲法違反の疑いがある」との判決をだしています。

 国はこれらの判決に基づいてすみやかに手術要件を見直すべきです。

 日常生活の場でどのようなルールに基づいて暮らしていくのかについては、法的な性別変更要件に関わりなく、それぞれの社会生活の場面で合理的でふさわしいルールが定められ、適用されることが求められます。「『体は男だけど心は女だから女性トイレに入れろ』などのバカげたことが起きている」(自民党・山谷えり子参院議員)などと、当事者が求めてもいないこと、また社会的ルールにもなっていないことを強調し、恐怖心や偏見に基づく差別感情を煽るようなことは、あってはならないと考えます。

 女性たちが「女性専用スペースが安全・安心な空間であってほしい」と願うことは当然のことで、そのために知恵を尽くすことは大事なことです。同時に、トランスジェンダーの人も排除されないで安全・安心に過ごせる場を確保することは、矛盾することではなく、統一的に追求されることだと考えます。

 女性たちが不安に思っているのは、「女子トイレに犯罪目的で、性自認も身体も男性である者が、女性を偽装してスペースに入ってくるのではないか」ということです。しかし、ジェンダー・アイデンティティー=性自認という個人の尊厳の問題や、女性専用スペースの利用のルールをどうしていくのかということと、犯罪目的のために女性を偽装して侵入してくるということは、まったく別の次元の話です。当然、犯罪には取り締まりを強化すべきであり、行政や事業所は、その予防措置を講じるべきです。

―――性の多様性を認め合い、誰もが「個人の尊厳」を尊重される社会をつくるために、理解増進法は見直し、真のLGBT平等法(差別禁止法)の成立をめざします。 

―――公的書類における不必要な性別欄を撤廃します。

―――学校(教育機関)や地域でのLGBT/SOGIの理解促進に力を注ぎます。子ども・若者が、周囲や学校等のLGBT/SOGIに対する無理解から、自己肯定感をはぐくめず、いじめのターゲットとなったり、自死念慮を強めたりしていることが報告されています。当事者の子ども・若者の「居場所づくり」に取り組む民間団体の実践に学び、行政も乗り出し全国的な普及をはかります。

―――企業が、相談窓口の設置や福利厚生、「誰でもトイレ」の設置、社内研修など適切なLGBT/SOGI対策を実施することを呼びかけます。国や自治体としてLGBT/SOGI対策に積極的にとりくむ企業の顕彰をおこないます。

―――病院や自治体窓口などで個人を呼ぶ際、姓名ではなく番号で伝えるよう要請します。「トランスジェンダーだが戸籍の性別変更をしていない場合、名前と見た目の性別が異なるので奇異な目で見られるのがつらい」などの声があがっていることを踏まえ、SOGIに配慮した仕組みづくりや取り組みを求めます。

―――現行の「性同一性障害特例法」第3条の性別変更の手術要件、「18歳以上であること」「婚姻をしていないこと」「未成年の子がいないこと」などの要件の見直しを進めます。

―――性別適合手術に伴うホルモン治療にも保険適用を拡充することを求めます。性別適合手術は2018年4月から保険適用となりましたが、同時に実施されることの多いホルモン治療が適用外のため「混合診療」となってしまい、実質的には保険が使えないということが起きています。

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