7、コロナ・感染症対策
新型コロナウイルス感染症への対策、新興・再興感染症に備えた体制づくりを進めます
2024年10月
新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対策を進めます
新型コロナウイルス感染症は引き続き、感染拡大によって医療体制の逼迫・崩壊をまねき、国民の命と健康を脅かす重大な要因となっています。
昨年、政府が新型コロナ感染症の法律上の位置づけを「5類」に変更して以後も、感染拡大時には発熱外来の予約がとれなくなるなど、医療が逼迫する事態が発生しています。政府は今年3月末、「5類」移行後も続けてきた抗ウイルス薬の自己負担軽減や診療報酬の特例の経過措置を打ち切りましたが、その後、新株への置き換わりに伴って全国的に感染が急拡大するなか、各地で救急・入院体制の困難が生じ、現場からは「医療崩壊」への懸念が出される事態となりました。
医療の逼迫を防ぐには重症患者の増大を抑えることが必要ですが、3月末の自己負担軽減措置の打ち切りにより、ラゲブリオ、パキロビッドなど新型コロナの経口抗ウイルス薬は、処方1回当たり3万円程度の窓口負担が発生するようになっており(3割負担)、高負担を理由に薬の処方を避ける傾向が生じています。
新型コロナワクチンも、高齢者や基礎疾患のある人を重症化から守る重要な手段ですが、10月から始まった定期接種の枠組みでは、自治体によって最大7,000円程度の自己負担が発生する状況となっています。
日本共産党は、この冬にも予想される感染拡大の次なる「波」に備え、医療逼迫や医療崩壊を防いで必要な医療が提供される体制を守るため、政府に対策強化を求めていきます。
――新型コロナ感染症の抗ウイルス薬などに公費補助の仕組みを設け、患者の自己負担をインフルエンザにおけるタミフルなどと同程度に抑えることを求めます。
――新型コロナワクチンについて、経済的負担から接種をあきらめる人がないよう、負担軽減の仕組みを創設します。
――ワクチンの有効性・安全性について、新たな知見・エビデンスも含めて情報提供を行い、国民の疑問に答えることを国に求めます。ワクチン接種後に起こっている有害事象について、原因を徹底究明するとともに、接種と症状との因果関係の認定に至らなかった事例も含めた幅広い補償・救済を行っていきます。
――地域医療体制への支援を強化し、感染者や疑いのある人が十分な検査と治療を受けられるようにします。救急・入院の拡充など「コロナ以外」の医療の逼迫が起こらないようにする体制の強化をはかります。高齢者・障害者施設、医療機関などにおける検査等の防護措置の実施を国が支援し、「かかりまし経費」にも手当を行うことを求めます。
――肺・心臓の長期的障害やME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)など、「コロナ後遺症」の治療・研究、患者への生活支援を国の責任で進めます。
新興・再興感染症の到来に備える体制を構築します
はしか(麻疹)・風疹の患者が多く発生し、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)・AIDS患者も増加傾向にあるなど、日本はもともと、先進国のなかでも屈指の「感染症大国」です。ところが、社会保障費抑制をかかげる自公政権のもと、国の感染症対策は後退・縮小が繰り返され、空港・海港などでの水際検疫体制も不十分であることが、コロナ・パンデミックのなかで明らかになりました。
世界では、AIDS(後天性免疫不全症候群)、エボラ出血熱、SARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ、ニパウイルス感染症、ラッサ熱、MERS(中東呼吸器症候群)など、「30年間に少なくとも30の感染症が出現した」と言われるような、新興感染症の出現が相次いでいます。国際社会は、「コロナ・パンデミック」の教訓を踏まえ、次の新興・再興感染症の発生に備えた体制・制度の整備を、世界共通の重要課題と位置付けています。
日本における、次なる新興・再興感染症の到来に備える体制の構築を進めます。
――コロナ危機の教訓を踏まえ、感染症病床の2倍化、保健所の箇所・職員数の大幅増、国立感染症研究所の研究予算・体制の抜本的拡充、政府から独立した感染症に対応する科学者の専門機関の新設などを進めます。
――ワクチンや治療薬の研究・開発に対する財政支援、水際・検疫体制の抜本的な強化、予防接種の推進、正確な知識の普及など、感染症の発生をくいとめ、重症化を防止する施策を国の責任で推進します。国際的な感染症対策に対する人的・財政的支援を強めます。
――国からの財政支援や診療報酬の増額・改善により、新興・再興感染症の発生・拡大に備える検査・医療体制を拡充し、体制・人員・資器材等の確保を進めます。国際社会と共同し、感染国への支援の強化を図ります。感染国から帰国した邦人に対する調査・予防の措置は、人権を守る立場から行うようにします。
――性感染症の予防・治療を進めます。教育・保健の連携による性に関わる正しい知識の普及と予防法の周知、検査体制の強化、一般医療機関への情報提供による早期発見の推進、患者の人権を守る取り組みの強化などを推進します。
――安全性・有効性が確認されたワクチンの公費接種事業を進めます。ワクチン接種後に有害事象が起こった事例について、原因の徹底究明と調査、被害者の治療・補償・救済を、国の責任で進めます。