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日本共産党

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赤旗

2、自民党と裏金問題

「政治とカネ」――企業・団体献金全面禁止、政党助成金廃止

2024年10月

2024年の通常国会で一番の焦点となったのは、自民党の裏金事件についての告発とその解決策の議論です。

 自民党の裏金づくり事件は、自民党ぐるみの組織的犯罪行為です。自民党の主要派閥が、政治資金パーティーを通じて、組織的に、大規模に、長期間にわたり、収支報告書の不記載・虚偽記載という政治資金規正法違反の犯罪行為をおこなっていた、自民党政治の底知れない腐敗構造を露呈したものです。その中でも安倍派は、巨額の裏金をつくり、突出しています。長期に政権を握り、「数の力」で強権的な政治を進めてきた安倍派を支えていたのが、巨額の裏金だったことは、許しがたいことです。

 この前代未聞の金権腐敗事件に国民の批判と怒りが沸騰しています。企業・団体献金に固執し、企業・団体献金と政党助成金の"二重取り"を30年間続け、金権腐敗政治を長年続けてきた自民党に、全く反省がないことは明らかです。この点が国民からも見透かされ、岸田内閣の行き詰まりにつながったのではないでしょうか。

金権腐敗政治に対し、自浄能力のない自民党に政権を担う資格はない

 この裏金づくりを、だれが、いつ始めて、何に使ってきたのか。この問題は、いまだに、真相解明が行われていません。裏金議員のうち、政治倫理審査会に出席したのは、衆院で6人、参院は3人だけです。出席して弁明した議員も「会計には一切関与していない」「秘書に任せていた」などと"知らぬ存ぜぬ"の一点張りでした。政倫審で審査に付すことを全会一致で議決されたにもかかわらず、73人(衆院44人、参院29人)は出席を拒否し続けました。

 しかも、自民党は、裏金問題への再調査を拒否し、真相解明に背を向ける姿勢をあらわにしています。石破派の裏金問題も明るみになったいま、徹底的に、国会の場で真実を明らかにすることが必要です。

 安倍・菅政権のもとでも、河井克行元法務大臣・案里夫妻の大規模選挙買収事件、秋元司担当副大臣のカジノ汚職事件、吉川貴盛農林水産大臣の鶏卵汚職事件、甘利明経済再生担当大臣(前自民党幹事長)のUR口利き疑惑、安倍総理の「桜を見る会」前夜祭の買収問題など、「政治とカネ」をめぐる疑惑が続出しています。

 自民党の腐敗政治と自浄能力のなさを見ても、自民党に政権を担う資格はありません。

政治資金規正法の改悪を許しません

 今年の通常国会で、日本共産党は、「裏金議員」らと直接対峙し追及を重ね、自民公明両党で成立させた政治資金規正法改定の問題点を明らかにしました。

 今回の法改定は、①問題の本質である企業・団体献金禁止に触れないこと、②そもそも脱法行為の政策活動費を合法化する改悪であること、③政治資金の収支公開を国民から遠ざける収支報告書「要旨」の作成・公表義務の削除などの大改悪です。この告発は、論戦でも他党に影響を与え、世論にも大きく訴える中身となり、金権腐敗政治の自民党に対する厳しい批判になっています。

 政策活動費は、もともと現行法に規定がなく、政治家を迂回させることで支出の目的を明らかにしないものであり、規制法の趣旨に反する脱法行為です。それを、今回、合法化し温存したのです。さらに、維新の会との合意による修正で、政策活動費の上限を定め、10年後には領収書などを公開するかのように言っていますが、提案者は「今後の検討で結論を得る」と繰り返すだけで、政策活動費に固執している自民と維新が都合のいい制度を作ろうというものです。維新は、法案成立に手を貸しながら、今になって、政策活動費は廃止すると言っていますが、あまりにも無責任な態度です。政策活動費はきっぱり廃止すべきです。

 そして、収支報告書の要旨の作成・公開義務を削除したことは、規正法の柱である「収支公開」に逆行するものです。収支報告書の根幹部分が記載されている要旨すら無くなれば、収支報告書の公開3年後には、政治資金の流れがまったく見えなくなります。裏金事件がおきても、過去に遡ってカネの流れを検証し、政治的道議的責任を明らかにすることができなくなるのです。不祥事を隠蔽するものと言わざるを得ません。国民の不断の監視と批判の下に置くとした規正法の基本理念を貫き、収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要です。

 この他、 "お墨付き"を与えるだけの「政治資金監査」制度の拡大、政党助成金を利用した法違反のペナルティー制度の創設の検討、第三者機関へのルール作りの丸投げの検討など、看過できない規程が盛り込まれています。第三者機関へのルール作りの丸投げは、立法府としての責任放棄に他なりません。監査制度についていえば、現行の制度が「収支報告の適性の確保」にまったく意味をなさないものであることは明らかになっています。不明朗支出や白紙領収書の問題、河井元法務大臣夫妻が有罪となった巨額選挙買収事件、亡くなっている方を会計責任者としていた寺田稔元総務大臣の後援会の問題など、監査制度の導入後も相次いでおり、この制度が意味をなさないことを露呈しています。また、第三者機関の適正化委員会の報告では、収支報告書の形式上の適正すら確認できていない実態も明らかとなっています。実際の運用からも、制度が不必要であることは明白です。監査人のチェックを受けたという"お墨付き"を得ようとするものに他ならない「政治資金監査」制度の拡大は必要ありません。

カネで政治をゆがめる企業・団体献金を全面的に禁止し、政党助成金を廃止します

 金権腐敗政治を根絶するうえで、企業・団体献金の全面禁止と政党助成金の廃止を一体として行うことが不可欠の道です。

 同時に、日本共産党は、こうした方向を主張するだけでなく、企業・団体献金も政党助成金も受け取らないことをみずから実行しています。

企業・団体によるパーティー券購入を含む企業・団体献金を全面禁止します

 4月の朝日新聞の世論調査において、企業・団体献金について、「利益誘導につながりかねないから、認めない方がよい」が79%に上りました。企業・団体献金の害悪が、国民の共通認識となってきたのです。今こそ、金権腐敗政治の根源である企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきです。

 日本共産党は、リクルート事件が問題となった1989年から、一貫して「企業・団体献金の全面禁止」を柱にかかげ、「政治資金集めのためのパーティー券購入も寄附とみなし、企業・団体によるパーティー券の購入を禁止する」ことを提案して、「企業・団体献金全面禁止法案」を国会に提出し、実践もしてきました。いま、他の野党も、企業・団体献金の禁止、企業・団体によるパーティー券購入も禁止とした法案を提出するようになりました。「しんぶん赤旗」の報道も含め、日本共産党が、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止の法案を提出し続け、道理ある金権腐敗政治を追求し続けてきたからこそ生まれた変化だと思います。

 一方、自民党は、「企業・団体献金は悪ではない」として、企業・団体献金の禁止を絶対に認めない姿勢をとり続けています。

 さらに、企業・団体献金の禁止を否定した自民党は、政治資金は「政党助成金」「個人献金」「企業・団体献金」「パーティー収入、機関紙など事業収入」のバランスをとることが重要だと、政治資金のバランス論に問題にすり替えました。自民党収入の3分の2を政党助成金が占める中で、「バランスが悪いというなら、企業・団体献金をもっと増やすということになる」と暴いたのも、共産党の論戦でした。企業・団体献金に固執し続け、金権腐敗政治を長年続けてきた自民党に、全く反省がないことは明らかです。

 そして、企業・団体献金の禁止が抜け落ちた法改定に手を貸した、与党公明党の責任も大きいと言わざるを得ません。

 1994年に成立した「政治改革」関連法は、「企業・団体献金については、廃止の方向に踏み切る」といいながら、実際には、「政党支部への献金」「政治資金パーティー券の購入」という二つの抜け道をつくり、企業・団体献金を温存してきました。

 政界全体へのカネの流れをみると、企業・団体献金総額は83.76億円にのぼり、さらに政治資金パーティー収入の総額は181.07万円となっています(直近2022年分、総務大臣届出分と都道府県選管届出分の合計)。

 「政治家個人に対する企業・団体献金は禁止するが、政党には認める」とされたため、現在、総務省に届けられている各党の支部は9,000以上にのぼり、この党支部を受け皿に、企業・団体献金を受け取っているのです。

 パーティー券は、その大半を企業・団体が購入しているのが実態であり、形を変えた企業・団体献金にほかなりません。自民党派閥の裏金問題で、原資となったのは派閥の政治資金パーティー収入です。パーティー券購入者の収支報告書への記載基準は、寄附の5万円とは異なり、20万円とされてきました。また、企業・団体は、派閥などの政治団体への献金は禁止ですが、パーティー券であれば購入できます。この抜け穴を使って、派閥は、1回のパーティー開催で1~3億のパーティー券を販売し収入とし、所属議員へのキックバック(還流)等で裏金としていました。今回の法改定で、2027年以後のパーティー券購入者の公開基準が1回5万円超となりましたが、複数回に分ければ、これまでと何ら変わるものではありません。抜け道を温存するものです。

 そもそも、企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂であり、ただちに全面禁止すべきです。

 国民一人ひとりが、自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのもの、「国民固有の権利」です。選挙権を持たない企業が献金することは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するものです。

 自民党など企業献金を容認する人たちは、1970年の八幡製鉄最高裁判決を持ち出し、「企業も社会的存在である」などといって正当化します。しかし、この判決は企業・団体献金の弊害を認め、その対策は「立法政策にまつべき」と述べており、企業・団体献金を禁止する立法を否定しているわけではありません。今なお、この判決にしがみつくのは、国民の権利を侵害している実態から目をそらし、立法府が積み重ねた企業・団体献金禁止の議論を無視するものです。

 営利を目的とする企業が、個人をはるかに超える強大な財力で、カネの力で政治に影響をあたえ自己の利益をはかれば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。自民党と企業との癒着によって政治がゆがめられた事例は、枚挙にいとまがありません。

 政治のゆがみをただし、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金の禁止がどうしても必要です。

政党助成金制度を廃止します

 企業・団体献金とともに、重大な問題は、政党助成金です。政党助成金制度は、90年代の「政治改革」で「企業・団体献金の廃止」とひきかえにという名目で導入されました。しかし、実際には、政党本部・支部への企業・団体献金は温存され、もう一方で国民の税金である政党助成金を受け取り、「企業・団体献金も、政党助成金も」"二重取り"が続けられています。

 自民党は、「政党に対する企業・団体献金は禁止されていないことも含めて、現行の法制度上、政党助成金が併存していることを考えれば、二重取りという批判は当たらない」と開き直っています。自民党には、国民の声が届かないということです。

 1995年に政党助成法が施行されて以降、国民に1人当たり250円を負担させ、毎年300億円以上もの税金が日本共産党以外の各政党にばらまかれました。その総額は9,328億円(~2024年7月分)に達し、自民党だけで4,487.9億円にものぼります。

 そもそも、国民は、自らの思想、政治信条に従い、支持政党に寄附する自由と権利をもっており、政治資金の拠出は、国民の政治参加の権利そのものです。ところが、税金を政党に配分する政党助成金の仕組みによって、国民は、自ら支持しない政党にたいしても強制的に寄附させられることになります。

 日本共産党は、このような制度は、「思想・信条の自由」や「政党支持の自由」を侵かす、憲法違反の制度であると指摘し、その創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受け取りを拒否してきました。

 重大なことは、政党助成金制度が、きわめて深刻な形で「政党の堕落」をまねいていることです。

 政党助成金を受け取っている各党の本部収入に占める比率(直近2022年分)は、自民党が64.3%、立憲民主党は74.1%、維新の会は72.3%、国民民主党は85.7%、れいわ新選組は64.1%などです。この制度の導入の際には提案者から「税金に過度に依存しないことが必要」との議論がありましたが、いまや政党助成金を受け取っている多くの党が、その運営資金の大半を税金に依存しているのが実態です。自らは税金に依存しながら、国民に増税を押し付ける、まさに厚顔無恥の態度であり、断じて許されません。

 また、制度導入以来、政党助成金を受けとった政党は49党、2024年の7月分を受けとった政党は9党です。「5人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえる」ことから、理念も政策もぬきに、政党助成金目当てに、おびただしい数の新党の設立と解散が繰り返されてきたことも、問題です。

 政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得て、その活動資金をつくる、ということが基本です。政党が、国民・有権者から「浄財」を集める努力をしないで、税金頼みになっていることから、カネへの感覚が麻痺し、庶民の痛みがわからなくなり、腐敗政治をつくりだす一つの根源になっていることも重大です。

 このように政党助成金頼みの政党をつくりだす制度は、「虚構の多数」をつくりだす小選挙区制とあいまって、「政党の堕落」や「政治家の劣化」を生み出しています。民主主義を壊すきわめて「有害」な税金の使い方は許されません。

 この間、日本共産党は「政党助成法廃止法案」を提出してきました。

 政党助成金制度はきっぱり廃止します。

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