袴田さん再審無罪 控訴せず判決確定を
2024年9月26日 日本共産党委員長 田村智子
1966年に発生した殺人事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審(裁判のやり直し)で、静岡地方裁判所が無罪判決を言い渡した。事件から58年、死刑の確定判決から44年という時間はあまりにも長い。一貫して無罪を主張し、たたかってこられたご本人とご家族、弁護団、支援者のみなさんに深い敬意を表するとともに、その筆舌に尽くしがたいご労苦に思いをいたし、検察が控訴せず一刻も早く判決を確定させるよう、強く求める。
判決が、「捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)がある」と認めたことは、死刑判決の根拠が根底から崩れていることを意味し、極めて重大である。警察、検察、裁判所は、なぜ本件のようなえん罪が生じ、なぜ再審無罪判決に至るまで半世紀近くも時間を要することとなったのか、全面的に検証するべきである。
再審開始まで40年以上かかった背景には、現行法に再審手続きのルールがほとんどないという問題がある。証拠開示や審理の進行が裁判官の判断に左右される「再審格差」が指摘され、袴田事件においても検察官が再審開始決定に対して不服申し立てを行い、再審開始が大幅に遅れた。証拠開示の義務付けや検察官抗告を禁止する再審法改正はいよいよ急務である。党派を超えて、法改正に直ちにとりくむことを強く呼びかけるものである。