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日本共産党

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赤旗

69、外国人問題

2022年6月

外国人の人権を保障するため、入管法の抜本的改正を求めます

 2021年の第204通常国会に自公政権が提出した「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案」(入管法改定案)は、審議を通じ、外国人への非人間的な扱いなど、現行入管制度の欠陥を一層拡大する重大問題が浮き彫りになりました。国民の批判の声に追い詰められ、政府は入管法改定案の成立を断念しました。

 入管法改定案をめぐって国民の不信と怒りを広げたのは、名古屋出入国在留管理局に収容中に死去したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=の事件と、その真相究明に背を向け続けた菅政権(当時)の姿勢でした。入管施設内で人命が失われた深刻な事件にもかかわらず、法務省・入管当局は真相を明らかにしようとしませんでした。ウィシュマさんの収容状況を撮影したビデオの全面的な開示をはじめ、事実経過と責任の所在を明確にすることが不可欠です。入管行政においては、長期収容などの人権侵害が繰り返され、2007年以降だけでも入管施設でウィシュマさんを含め17人もの死亡者を出しています。この異常事態に根本的にメスを入れなければなりません。

 入管法改定案の審議の中では、在留資格を失った外国人を全て施設に収容する「全件収容主義」の過酷な実態が厳しく問われました。裁判所の関与もなく、入管当局の裁量任せのやり方は世界に通用しません。国連の人権理事会などから何度も是正と改善を求められていることを政府は真剣に受け止めるべきです。難民申請の認定率があまりにも低すぎる日本の仕組みにも批判が相次いでいます。

 戦前の入管制度は、内務省管轄で、特高警察が実務の担い、外国人をもっぱら治安維持のための取締りの対象としていました。戦後の入管法制の出発点となったのは、基本的人権を定めた日本国憲法が施行される前の1947年に米軍占領下で、旧憲法体制下の勅令(ポツダム勅令)として、政府が公布した外国人登録令です。ここには、連合国関係者を除く外国人の原則的入国禁止、退去強制等をはじめ、取締り法的な規定がもりこまれました。現行の入管法制の反人権的な問題点、入管の隠ぺい体質や強権的姿勢は、こうした戦前と戦後の歴史的背景を引き継いだものです。日本国憲法の精神に基づいて入管法を根本から改める必要があります。

 日本共産党は、日本国憲法に立脚して、外国人の人権を守り、地域社会で共生していける入管法への抜本的な改正を求めます。第204通常国会に野党共同で提出した入管法抜本改正案の実現をめざします。

―――法務省の判断で外国人を収容することができる全件収容主義を改め、収容には司法判断を必須とします。収容期限に上限を設けます。入管施設に収容されている者を仮放免できる制度を拡大します。

―――出入国在留管理庁から難民行政を切り離し、独立した難民等保護委員会を新設します。現在の難民認定審査の在り方を、事案の実情に即した適切な判断を行うものへと大きく変えます。

―――外国人個々の事情を考慮し、柔軟な在留特別許可制度にします。短期在留資格における就労許可を拡大します。難民申請者など在留資格を求める外国人に対する、生活支援制度を設けます。

 (註:上記政策提案は、野党共同提案入管法改正案の骨子のまとめです。)

外国人労働者の生活と権利の向上を

 厚生労働省が公表している「『外国人雇用状況』の届出状況」によると、2021年10月末現在、日本国内で外国人労働者を雇用している事業所数は28万5,080カ所(前年比1万7,837カ所、6.7%増)、外国人労働者数は172万7,221人(前年比2,893人、0.2%増)で、2007年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新しましたが、増加率は前年 4.0%から3.8ポイントに減少しました。

 労働者数が多い上位3の在留資格では、身分に基づく在留資格(永住者・定住者など)は 58万328人 (全体の33.6%、前年比 6.2%増)、技能実習は35万1,788人 (全体の20.4%、前年比 14.3%減)、資格外活動(留学を含む)は33万4,603 人 (全体の 19.4%、前年比 10.6%減)となっています。外国人労働者のうち、派遣・請負で働いている人が、全体の19.9%を占めています。

 外国人労働者の中には、言葉のハンディなどにつけこまれ、最低賃金を割り込む低賃金で働かされ、パスポートや預金通帳をとりあげて自由を奪われるなど、さまざまな人権侵害に苦しんでいる人たちがいます。

 外国人への差別、人権侵害に、簡易迅速に対処できるよう、申し立てを受けて調整し、救済の手だてがとれる、政府から独立した国内人権機関を創設すべきです。

 日本共産党は、外国人労働者が、憲法と労働基準法をはじめとした労働法に認められた労働者としての権利が保障され、人間らしい営みができるよう労働条件を改善することを求めます。

在留資格「特定技能」制度―外国人労働者に人間らしい生活を保障するための施策をすすめます

 近年政府は、在留資格を次々と追加しながら外国人労働者の受入れを行い、技能実習生、留学生、日系人保護の建前をとりながら、実際はいずれも安価な労働力として利用しています。2018年12月、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、2019年4月に施行され、新しい在留資格「特定技能」による外国人労働者の受入が始まりました。

 改定入管法は、受入れ業種や規模、人数など、具体的なことは全て省令以下に委ねる白紙委任法であり、法律の体をなしていません。新設される特定技能1号の在留資格は、1年ごとの更新制です。また、在留の前提となる雇用契約は1年以下、例えば3カ月の短期契約も可能です。さらに、派遣契約も排除していません。結局、特定技能は、5年を上限として雇用契約や在留期間を短期で繰り返す外国人の非正規労働者をつくり出すものです。これは、外国人労働者を雇用の調整弁とするものにほかなりません。

 特定技能は、技能実習生からの移行を前提にしています。実際、受入先14業種のうち13業種が実習生からの移行を前提とし、その多くが8割から10割の移行を見込んでいます。特定技能は、人手不足分野の劣悪な労働条件でも従順に働く単純労働力として外国人労働者の受入れを拡大し、そのために、深刻な人権侵害の構造が明らかな外国人技能実習生を、更に最大5年、安価に働かせ続けようとするものです。技能実習を前提とした特定技能による外国人労働者の受入は断じて認められません。

 特定技能1号の外国人労働者の地位は極めて不安定であり、就職や解雇、住まいを始め生活のあらゆる場面で不正な利益を目的とするブローカーの介入の危険があります。受入れ企業が支援するとしていますが、支援を委託される登録支援機関には技能実習制度の監理団体が横滑りできることが明らかとなりました。登録を受けない未登録団体が営利目的で委託料を受けて行うことも認められます。これでは、支援の名の下に、狭い宿舎に労働者を押し込め、高額の家賃や水光熱費をピンはねする類いの不正行為を排除できません。

 改定入管法は、新在留資格「特定技能」新設により、外国人労働者の劣悪な労働実態を放置したまま受入れを拡大するものです。今、外国人労働者問題について求められているのは、外国人労働者の基本的人権が保障される秩序ある受入れと、共に生活するための支援体制です。

 日本共産党は、外国人労働者に対する人権侵害をやめさせ、人間らしく生きられるために、入管法の抜本的改正を求めます。

外国人労働者に人間らしい生活を保障するための施策をすすめます

―――在留資格の種類にかかわらず、外国人労働者の家族の帯同を実現します。

―――生活全般に係る相談を一元的に受け入れるワンストップセンターの整備を推進します。

―――地域での円滑な日常生活をおくるために、夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実を図ります。

―――外国人児童の学校教育、外国人学校の支援に取り組みます。

―――多文化共生社会の実現を図ります。

外国人技能実習制度―安易な受け入れ拡大に反対し、制度の廃止を含めた根本からの見直しを求めます

 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(外国人技能実習法)が2016年11月に成立、2017年11月に施行されました。

 外国人技能実習制度は、「技能移転」による「国際貢献」を名目としながら、その実態は、低賃金、単純労働力の受け入れであるという構造的矛盾を抱え、深刻な人権侵害を生み出し続けてきました。それにもかかわらず自・公政権は、実習期間の3年から5年への延長、受け入れ人数枠と対象職種の拡大などをおしすすめています。これは人道上も許されるものではありません。

 この制度は、当初から、「研修」とは名ばかりの安価な労働力の供給手段とされ、強制労働、低賃金、残業手当不払い、ピンはね、強制貯金、パスポート取り上げ、高額の保証金や違約金、強制帰国、セクハラと性的暴行など、数々の人権侵害が続発し、重大問題となってきました。こうした外国人技能実習生の実態に対し、日本弁護士連合会は、「人権侵害は構造的問題に起因する」として、その早急な廃止を求めていました。また、国連自由権規約委員会は、性的虐待、労働に関する死亡、強制労働を指摘し、米国務省は、労働搾取や人身売買への懸念を表明しています。国連人権機関、国際社会から、さまざまな懸念が指摘されているのです。

 2010年の入管法改正により、それまでの「研修」を「技能実習」にかえて、労働関係法令を適用するとともに、監理団体を設けました。しかし、技能実習生をめぐる悪質な人権侵害の状況は、引き続き深刻です。

 外国人技能実習生の失踪件数は、2010年の1,282人から、2016年に5,803人、2018年には9,052人と大幅に増加しています。「『日本で働けば月給20万~30万円。1日8時間、週5日勤務。寮あり』ときいて、仲介会社に約150万円を支払い来日したが、実際には毎日早朝6時から深夜2時まで働き、休みもなく、『寮』は農機具の保管場所で、家賃として月2万円が給料から天引きされ、手元には6万円程度しか残らない。7カ月がんばったが疲れてしまい、逃げ出した」(ベトナム人技能実習生)などの事例が報告されています。

 失踪した技能実習生からの聴取票は、実習生の実態を解明する上で不可欠の資料です。その提出を政府・与党が拒否する中で、野党が884枚の聴取票を調べたところ、86%が最賃割れだということが明らかになりました。暴力やセクハラなど人権侵害も浮き彫りになっています。

 外国人技能実習法によっても、技能実習生は例外的な場合を除いて職場移転の自由がなく、人権侵害の根源である支配従属関係を解消することはできません。悪質なブローカーや法外な保証金を排除するための2国間取り決めが行われる制度的担保がありません。

 外国人技能実習機構(新機構)は、実習認定業務他、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する業務を行います。しかし、新機構の体制・権限では、技能実習の適正な実施および技能実習生を保護するには不十分です。

 介護分野での過酷な労働条件と低賃金を放置しつづけけたまま、在留資格「介護」を新設し、技能実習の職種に「介護」を追加することは、深刻な人権侵害、介護サービスの質の低下や稚拙な日本語でのコミュニケーションによる新たなトラブルなどの可能性が懸念されます。

 外国人技能実習法は、制度の適正化といいながら、外国人技能実習制度の構造的矛盾を固定化し、逆に制度拡大により、さらに矛盾を拡大するものです。外国人技能実習制度は廃止します。

永住外国人に地方参政権の付与を

 日本には123万人(永住者83万1,157人、特別永住者29万6,416人)の永住外国人が生活しています。日本共産党は、永住外国人の地方参政権を認め、ただちに付与する措置が取られるよう求めます。

 1995年2月の最高裁判所判決は、永住外国人に地方参政権を保障することは「憲法上禁止されているものではない」との判断を示しました。地方自治体の運営は、本来、すべての住民の参加によってすすめられるのが、憲法のさだめる地方自治の根本精神です。永住外国人を地方自治の担い手としてむかえ、日本国民と等しく参加する政治を実現することは現状に即しており、わが国の民主主義の成熟と発展につながります。

 日本共産党は1998年に「永住外国人に地方参政権を保障するための提案」を発表しましたが、この中で、都道府県および市区町村の首長、議会議員について選挙権を付与すること、日本の法律に基づく被選挙権年齢に達した永住外国人に被選挙権を付与すること、さらに、地方自治体における条例制定などの直接請求権、首長・議員リコールなどの住民投票権も同様に付与することを明記し、その実現のために努力してきました。残念ながら一部の人々の反対で実現には至っていませんが、日本共産党は、永住外国人に地方参政権を保障することに、国会がただちにとりくむことを強く求めます。

移民・難民問題について

難民問題に、日本政府は先進国として積極的な役割を果たすよう求めます

 シリア内戦による難民は、現在670万人を超え、トルコ、レバノンなどの周辺国には難民が逃れ、欧州諸国にも大勢が押し寄せました。紛争や迫害により故郷を追われた人の数は8,240万人といわれています。当時国連では、「爆発的に増える難民の問題に立ち向かわなければならない」(総会議長=デンマーク元外相)と、国際社会が一致して取り組む緊急の課題として取りあげられました。

 多くの難民が欧州諸国におしよせ、ドイツ一国だけで80万人をこす難民申請(2015年)となりました。ドイツでは申請者の87%以上、イギリスでは91%以上を難民として認定したとされます。また、難民キャンプなどから受け入れる「第三国定住」にも各国政府が名乗りをあげており、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど30か国近くが、10万人以上の受け入れを表明しています。

 日本政府の難民認定は、2013年には申請者3260人に対しわずか6人、2014年には5,000人の申請に対し11人、2015年には7,586人の申請に対し27人、2016年には10,901人の申請に対し28人にとどまり、欧米各国とはけた違いの状況が続いています。シリア難民については、2011年~16年で申請が69人にたいし認定は7人にとどまっています。イギリスのガーディアン紙(2015年9月30日付)が「人権団体は...日本は高所得の国なのに、第二次世界大戦以降で最悪の難民問題に手をさしのべることに失敗していると強調している」、「日本は昨年、1億8,160万ドルを国連の難民対策部門に支出し、アメリカに次いで2番目に多いが、シリアや他の難民受け入れは、その経済規模に見合っていない」と報じるなど、「日本は難民対策に不熱心」と世界から批判を受けました。

 日本共産党は、世界からテロをなくすために、国際社会が一致結束して次の三つの対策に取り組むことを提唱してきましたが(「80、 国際テロ対策」の項参照)、柱の一つとして、難民支援を抜本的に強めることを提唱しています。

 国際社会からの要請にこたえ、日本も先進国として難民問題で積極的な役割を果たすべきです。

 日本共産党は以下の3点を日本政府に求めます。

―――シリア難民危機に対応した難民の受け入れを適切に行うこと。

―――国際機関、地域機関、NGOと協力体制をとり、シリア、アフガニスタン難民が滞在する地域周辺国などへの支援を抜本的に強化すること。

―――難民が生まれる根本原因を一掃するための日本の貢献、とくに、平和憲法を持つ国にふさわしく、紛争解決のための外交的な役割を発揮すること。

日本政府の難民認定のありかたを抜本的に改善します
難民認定が極端に少ない

 そもそも日本の難民認定制度は、世界に類をみない厳しいものです。2018年は、難民申請数1万493人、難民認定者42人、人道的配慮によって在留が認められた人40人、2019年は難民申請数10,375人、難民認定者44人、同上37人、2020年は、難民申請数3,936人、難民認定者47人、同上44人、2021年は 難民申請数2,413人、難民認定者74人、同上580人(ミャンマー人への緊急避難措置として在留資格が認められた人数は498人)でした。

 その要因の第一は、難民条約における「難民」の定義を、あまりにも狭く解釈していることです。「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか、又はそれを望まないもの」(難民条約第1条)という規定となっていますが、日本の入管行政は「迫害を受けるおそれ」という点を、難民申請者自身に客観的な証拠をもって立証することを求め、また「迫害を受けるおそれ」も極めて狭く解釈しています。また、「国籍国の保護を受けることができない」という規定を「無政府状態」でなければならない、と狭く解釈しています。

 要因の第二は、難民認定行政と出入国管理行政が分離されていないことです。日本ではどちらも法務省入国管理局が所管しており、難民調査官は入国審査官の中から指名されています。こうした出入国管理行政との密接なつながりが、難民認定の抑制につながる可能性があると指摘されています。とくに異議申立機関に関しては、出入国管理行政からの分離を推奨する勧告を、国連人権理事会や国連自由権規約委員会などから受けています(いずれも2008年)。

難民申請者の生活保障が不十分

 法務省は難民審査を原則的に6カ月で処理できるように努力する旨を宣言しています。処理期間の公表を始めた2010年には、平均で10.3カ月~14.4カ月程度かかっていたのが、2015年度には、10~12月に8.3カ月、1~3月に6.3カ月と、短縮していますが、2017年度4~6月は、また11.7か月に戻り、2019年度4~6月は15.2カ月かかっています。

 目標達成には至っていません。さらに、難民認定がなされず、異議申立て・訴訟提起等、経過が長引いた場合には、さらに時間が必要となります。

 支援団体や弁護士などからは、この期間の生活保障が不十分であることについて、多くの指摘があがっています。かつては国民健康保険の加入、生活保護の受給は認められず、就労にも制約があるなか、外務省所管の財団法人が難民認定申請中の生活困窮者に支給する生活支援金が唯一の頼りという状況でした。国連の人種差別撤廃委員会からは2010年、わが国に対し、すべての庇護希望者の権利、とくに適当な生活水準や医療ケアに対する権利が確保されるべきであるとの勧告がありました。同年3月、申請者の生活に配慮して、申請から6カ月を超えれば就労できるように改善されましたが、一部メディアには「これが偽装難民を多数生む温床となっている」と問題視する論調もあり、不十分・不安定な状況が続いています。法務省は不当にも、2018年1月、難民申請から6か月経過後の就労可能というそれまでの運用をやめるに至りました。

難民認定者への支援も不十分

 難民認定者には、RHQ支援センターで日本語教育、社会生活への適応のための指導、就職あっせんなどの定住支援が半年ないし1年間実施されます。退所後も、生活面でのアフターケアなどを改善する必要があります。

―――「難民」の定義を極端に狭くしている認定を改善します。

―――入管行政と難民審査行政が一体となっているような難民審査体制の改正を含めた法制度の整備を急ぎます。

―――難民申請者の生活保障と難民認定者への支援を拡充します。

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