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日本共産党

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赤旗

62、憲法

憲法と日本の未来がかかった選挙

2022年6月

 

 今回の参院選は、憲法9条の平和主義をはじめとする日本の現在と進路が問われる選挙となります。

 いま、ロシアのウクライナ侵略に乗じて「戦争する国」の大合唱が起こっています。日本共産党は、この逆流に正面からたちはだかり、危機に乗じた9条改憲を許さず、9条を生かした外交で東アジアを平和な地域にするため全力をつくします。

 2021年総選挙後、憲法9条改憲への危険な新局面が生まれています。岸田首相は、昨年11月の記者会見で、安倍改憲を引き継ぎ、「自衛隊の明記」など「改憲4項目」の実現にむけ、自民党の「憲法改正推進本部」を「実現本部」に強化し、「国会における精力的な議論を進めること」を指示するなど、改憲に前のめりの姿勢をとってきました。同時に、「敵基地攻撃能力の保有の検討」を繰り返し、GDP(国内総生産)比2%への軍事費の増額、日米同盟の強化を公約し、海外で「戦争する国」への大軍拡をすすめようとしています。

 日本維新の会と国民民主党が「憲法改定論議の加速」で合意し、自民党の改憲策動を応援し後押ししてきたことも重大です。とりわけ、維新の会は、自衛隊保持を明記する9条改憲案を提示し、「専守防衛」を投げ捨てよと公然と叫び、「核共有」を掲げて非核三原則の公然とした破壊を主張するなど、自民党よりもさらに右翼的立場から戦争をあおりたてる突撃隊の役割を果たしています。自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党による、憲法と平和を壊す「翼賛体制」を許してはなりません。

 この間、「9条改憲NO! 全国市民アクション」が呼びかけた「憲法改悪を許さない」全国署名が各地でとりくまれ、草の根から改憲反対の運動がひろがっています。参議院選挙では、9条改憲に反対し憲法を生かす政治をすすめる日本共産党を大きく伸ばし、改憲勢力にきびしい審判を下しましょう。

日本を戦争に導く「力対力」の道、9条改憲に反対します

「専守防衛」を投げ捨て、「戦争する国」への大逆行を許しません

「日米同盟の抑止力強化」の大合唱。「力対力」では平和はつくれません―――自公政権や維新の会などは、ウクライナ侵略に乗じて、「日米同盟の抑止力強化」「防衛力増強」「核には核」の大合唱をしています。しかし、「力対力」の対決の先に平和は決して訪れません。東アジアと世界に新たな軍事的緊張をつくりだし、「軍事対軍事」の危険な悪循環をつくりだします。それは戦争への道にほかなりません。

「敵基地攻撃能力」の保有は、憲法解釈を百八十度くつがえす無法―――自民党は、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に言い換え、攻撃対象を「敵基地」だけでなく「指揮統制機能等」に拡大する、そのために軍事費を「GDP比2%以上」に増やすなどの「提言」を4月に発表しました。岸田首相は、5月の日米首脳会談で「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有検討に言及し、軍事費の「相当な増額」をアメリカに約束しました。

 これまで政府は、「相手に脅威を与える攻撃型兵器は憲法上保有できない」としてきましたが、「敵基地攻撃能力」の保有などというのは、この憲法解釈を百八十度くつがえす無法なものです。

日本が攻撃されていなくても「敵基地攻撃」で攻め込む。ここに一番の危険が―――政府は、「敵基地攻撃能力」は、集団的自衛権の行使の際にも使えるとの見解を明らかにしています。日本が攻撃されていないのに、米軍が軍事行動をはじめたら、自衛隊が米軍と一体になって、相手国に「敵基地攻撃能力」を使って攻め込み、「指揮統制機能等」という国家中枢まで攻撃するというのです。そんなことをすれば、相手国の大規模な報復を呼び、全面戦争となり、日本に戦火を呼び込むことになります。ここに日本が直面する最大の現実的な危険があります。

憲法9条のもとでは許されない―――これらが歴代政権がまがりなりにも掲げてきた「専守防衛」の大原則を投げ捨てるものであり、「戦争放棄」を宣言した憲法9条のもとで許されないことは、あまりにも明らかです。自公政権や維新の会が9条改憲を声高に叫ぶのは、この危険な道を突き進むためです。

―――憲法9条改憲に反対をつらぬきます。

―――「敵基地攻撃能力」の保有など、「専守防衛」を投げ捨て、日本を「戦争する国」にする逆行を許しません。

―――安保法制=戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻します。

―――秘密保護法、共謀罪法、土地規制法など、国民の自由と権利を制限する違憲立法を廃止します。

―――日本国憲法の前文を含む全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざします。

平和と暮らしを壊す軍事費2倍化の大軍拡を許しません

 「敵基地攻撃能力」には、相手国の「指揮統制機能等」という中枢まで破壊するための攻撃的兵器が大量に必要になります。だからこそ軍事費を「5年以内にGDP比2%以上」、現在の2倍となる年間11兆円以上にするとしているのです。これでは世界第3位の軍事大国になってしまいます。

 その財源をどうするか、岸田首相も自民党も一言も言いません。しかし、こんな大軍拡をやろうとするなら、消費税の大増税か、社会保障や教育などの予算の大削減をもたらすことは火を見るよりも明らかです。安倍元首相は「防衛費を国債でまかなう」と言い出しています。これは戦前、野放図な国債発行で戦費を調達したことが、とめどもない侵略戦争の拡大につながった教訓をふまえ、戦後の財政法で国債発行を原則禁止したことを無視した妄言です。

―――平和と暮らしを壊す軍事費2倍化を許しません。

―――「敵基地攻撃能力」のための兵器購入、アメリカ製の武器爆買いの仕掛け(FMS)、辺野古新基地建設への税金投入などを見直し・中止します。

ASEAN諸国と協力して東アジアを平和の地域に――日本共産党の「外交ビジョン」

東アジア規模の包摂的な平和の枠組みを提唱しているASEAN諸国と協力して

 岸田自公政権や維新の会などは、「9条で平和が守れるか」などと言っています。しかし、政治の役割は、戦争を起こさないための外交に知恵と力をつくすことです。この役割を果たさず、何の外交戦略も持たずに、軍事一辺倒にのめり込んでいるのが岸田政権です。

 いまASEAN(東南アジア諸国連合)は、ASEAN10カ国と日米中など8カ国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、この地域を「紛争の平和的解決、武力行使と威嚇の放棄」の原則にそくして、「対抗でなく対話と協力の地域」にし、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという壮大な構想――ASEANインド太平洋構想(AOIP)を明らかにしています。いま日本がとりくむべきは、紛争の平和的解決を安全保障の第一にすえ、ASEANの国ぐにと手を携えて、AOIPを本気で推進することにあります。

 こうした日本共産党の「外交ビジョン」は、東アジア規模での集団安全保障の仕組みをつくりだそうというものです。軍事ブロックのように外部に仮想敵を設ける排他的な枠組みではなく、地域のすべての国を包み込む包摂的な枠組みをつくる――「対抗でなく対話と協力の地域にする」というところに、何よりもの重要な意義があります。

「力対力」の道では戦争を防げない――欧州の外交の失敗をアジアで繰り返さない

 日本共産党の「外交ビジョン」は、ヨーロッパの教訓を生かす道でもあります。ヨーロッパでは、ソ連崩壊後、欧州安全保障協力機構(OSCE)というロシアと全ヨーロッパの国ぐにを含めた包摂的な枠組みがつくられ、OSCEを「紛争の平和的解決のための主要な機関」(1999年の欧州安全保障憲章)に定めました。しかし、この機能は生かされず、NATO(北大西洋条約機構)諸国もロシアも、軍事力によって相手の攻撃を「抑止」するという戦略をすすめ、「力対力」に陥ってしまいました。

 ウクライナ侵略の責任は、あげて国連憲章をじゅうりんしたロシアにあり、軍事同盟の問題でロシアの侵略を免責することはできません。そのうえで、戦争という悲惨な結果になった背景には、「力対力」に陥った外交の失敗があったことを指摘しなければなりません。この失敗を東アジアで繰り返してはなりません。排他的な枠組みによる「力対力」に陥るのではなく、包摂的な平和の枠組みをつくり、それを安全保障の第一に位置づけて発展させることにこそ、ヨーロッパから引き出すべき最大の教訓があります。

 自公政権や維新の会などは、「ウクライナを見ろ」といって、「日米同盟の強化」の大合唱をしていますが、これはヨーロッパで戦争が起きてしまった外交の失敗から学ばず、東アジアに軍事的緊張を激化させる、間違った道です。

 ヨーロッパの失敗から引き出す教訓は、「力対力」に陥る軍事同盟の強化ではなく、地域のすべての国を包摂した平和の枠組みをつくることです。そのための憲法9条をいかした平和の外交こそ求められています。

―――紛争の平和的解決を安全保障の第一にすえ、ASEAN諸国と協力し、東アジアサミット(EAS)を活用・強化し、ASEANインド太平洋構想(AOIP)を本気で推進し、東アジアを戦争の心配のない平和と協力の地域にしていきます。

―――日本は、憲法9条を持つ国として、東アジアにおける軍拡競争を軍縮へと転換させるための、外交的イニシアチブを発揮すべきです。

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