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日本共産党

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赤旗

48、地方自治

地方自治を壊す政治を転換し、住民の命と暮らしを守り、憲法の「地方自治の本旨」にもとづく自治体のとりくみを応援します

2022年6月

 いま地方自治体には、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する非常事態に、急激な物価高騰が追い打ちをかけるもとで、住民の命と暮らし、地域経済を守る役割の発揮が求められています。

 ところが自公政権は、こうした地方のとりくみを支えるどころか、国民の命と暮らしを守る対策は無為無策のまま、新自由主義の「地方行革」を自治体に押しつけ、地方自治を壊す政策をすすめています。

 日本共産党はこの悪政を転換し、地方自治体が憲法に定められた「地方自治の本旨」に則って運営され、すべての自治体で住民が安心して住み続けられるよう全力で支援します。

新型コロナや物価高騰などから命と暮らしを守るため、国が地方自治体を支え財源を保障します

 新型コロナウイルスの感染拡大とその長期化は、住民のもっとも身近な存在である地方自治体が、住民の命と暮らしを守るという本来の役割を果たすことの重要性と課題を改めて浮き彫りにしました。

 自治体の感染対策の拠点である保健所は、1992年には852か所あったものが、2020年には469か所に半減させられ、感染拡大への対応がまったく追いつかない今日の事態をまねいています。感染者の多くを受け入れ治療する公立・公的病院も、この間、国からの圧力で統廃合や病床削減がすすんだため、感染者が急増すると医療崩壊を起こし自宅待機のまま亡くなる人が相次ぐという痛ましい事態が生じています。政府が2022年3月に発表した「公立病院経営強化ガイドライン」は、「改革」の軸足こそこれまでの「統廃合ありき」から「連携」に移したものの、20万床の削減計画や、2019年の「400超の公立・公的病院を統廃合の対象として名指ししたリスト」も撤回していません。PCR検査では、国の当初の消極的な姿勢で、自治体のとりくみに差が目立ち、ワクチンでは不安定な供給量によって接種が遅れ自治体や住民に混乱をもたらしました。コロナで困窮する住民の生活と営業への支援でも、国は持続化給付金と同水準の給付金の再支給は拒んでいます。生活保護制度では利用促進の障害となっている「扶養照会」を、運動におされて緩和しましたが、撤回は拒んでおり利用をためらう人をなくせていません。

 新型コロナの長期化で疲弊している地域経済を、ロシアのウクライナ侵略の影響や、「異次元の金融緩和」による異常円安による「大増税」にも等しい物価高騰が直撃しています。ところが政府がようやく出してきた「総合緊急対策」は規模も内容も地域経済を支えるものになっていません。日本共産党は、消費税5%への緊急減税など物価高騰から暮らしを守る根本的対策として「やさしく強い経済」をつくるための「五つの提案」を提唱しています。地域経済への影響の長期化が見通されるもとで、それぞれの自治体が地域の実情に応じた支援策が図れるよう、地方創生臨時交付金の追加交付に加えて、地方交付税そのものの拡充が必要です。

 自治体にとって、頻発する大規模な自然災害への対応も、住民の命を守るもう一つの喫緊の課題となっています。特に気候変動による温暖化などで、「50年に1度」レベルの大雨が毎年日本列島を襲い、河川の氾濫や土砂災害が住民の命を脅かしています。また、各地で地震が繰り返されており、南海トラフ巨大地震や首都直下地震なども予想されています。しかし、政府の災害対策予算は自治体の要望に十分こたえるものになっていません。

 地方自治体が、平時も非常時も「住民の福祉の増進」という本来の役割にふさわしく住民の命と暮らしを守ることを最優先にとりくむためには、国による財源の保障が欠かせません。自公政権による地方財政の抑制路線を転換し、医療や介護、子育てや地域振興など自治体の財政需要に見合った一般財源総額の確保と、地方交付税の充実が必要です。

―――日本共産党は、保健所の増設と体制強化をすすめ、その財源を保障します。地域医療構想や公立・公的病院の独立行政法人化などに反対し、国の責任ですべての医療機関へのコロナによる減収の補填、感染症対策をふくむ地域医療の抜本的拡充に転換します。コロナ対策をすすめる自治体の財源となる新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金を増額し、各種給付金を拡充します。

―――全国の自治体が、頻発する豪雨災害、地震・火山噴火などの大規模自然災害に備えたり、被災・避難した住民に安定的・継続的な支援ができるよう、国の責任で財源を拡充します。

―――コロナ禍での貧困のひろがりに対し、自治体が暮らしを支える対策ができるよう、財源を保障します。生活保護制度は「扶養照会」を根絶するなど、誰もが権利として安心して使える制度にします。

―――コロナ対策、物価高騰、災害、社会保障、地域振興への対応など、財政需要が増す地方自治体の実情に見合うよう一般財源総額を拡充します。地方交付税の財源の不足分は、臨時財政対策債の発行ではなく、交付税率の引き上げで対応します。

デジタル化を突破口にした新自由主義の「行革」、地方再編の動きに反対し、安心して住みつづけられる地域づくりを全力で応援します

 住民の命と暮らしを守る自治体本来の役割が果たせるよう、国の支援の拡大こそ求められているにもかかわらず、自公政権がいま自治体に押しつけているのは、コロナ禍に乗じた行政のデジタル化です。これを突破口に新自由主義の「地方行革」をすすめ、自治体のもつ個人情報や公的サービスを民間開放し、企業の儲け先にしようとしています。「地方創生」といいながら、デジタル化による標準化で、地方には「集約化」と再編を押しつけ、大都市圏では大型開発を続けています。

 住民の暮らしに役立つデジタル化は否定するものではありません。ところが、自公政権が推し進めている「デジタル改革」は、国や自治体がもつ膨大な個人情報の「データ利活用」を成長戦略と位置づけ、企業に開放し、儲けのタネとしていくための「改革」です。企業が保有する顧客情報などとは比べ物にならない行政が保有する個人情報を、利活用しやすいようにするためとして、例えば、これまで自治体が個人情報を守るために制定した個人情報保護条例の自治体ごとの保護規定は邪魔だから取りはらう、あるいは、自治体が行政運営のために福祉や教育の制度でそれぞれ運用しているコンピュータシステムも、バラバラだから統一・標準化してしまおう、というのです。

 政府は「デジタル改革関連法」を21年5月に成立させ、地方自治体に対して、国と地方を通じたデジタル基盤の統一と標準化を押しつけ、自治体はいまその具体化に追われています。

 個人情報保護法の改定によって、データ流通・利活用をしやすくする仕組みが盛り込まれ、それぞれの自治体が独自に制定する個人情報保護条例については「いったんリセット」し(当時の平井卓也デジタル改革担当大臣の答弁)、法のもとで全国共通のルールに沿った条例改正が23年4月施行に間に合うよう迫られています。

 自治体情報システム標準化法では、国が今年(22年)の夏に示す「標準仕様」にもとづき、全自治体の基幹業務システムを、25年度末までに移行することを目指しています。デジタル庁は、このシステムのなかでの自治体の独自施策の運用方法も示してはいるものの、知事会、市長会、町村会など地方団体からは、行政事務に裁量の余地がなくなる懸念があり地方の創意工夫を可能とする仕組みとすべき、自治体の負担とならないようにすべき、などのきびしい声が共通してあがっています。

 デジタル化での住民情報利活用の足がかりとして、国はマイナンバーカードの普及をマイナポイントなどあの手この手で国民に押しつけようとしていますが、思うようにすすまないのは、医療保険証や運転免許証など、様々な個人情報が紐づけされていくことへの国民の不安と個人情報の漏洩への懸念があるからです。行政のデジタル化とマイナンバーカード取得促進で、自治体の窓口の削減・廃止もねらわれています。

 「行政のデジタル化」による標準化は、これまで政府がすすめてきた自治体の再編、「集約化」の動きを促進する役割も果たすものです。大都市では引き続き「国際競争力の強化」の名のもとに大型開発を集中し、国際港湾の整備や、高速・高規格道路へのアクセス道路などの負担を強いています。各地で新たな「中心地域」の大型開発や「周辺地域」の切り捨てなどが指摘されるコンパクトシティ(立地適正化計画)もすすめられているほか、近隣自治体間で公共施設・行政サービスを連携することをつうじて「集約化」を図ろうとする「連携中枢都市圏構想」など自治体間の広域化の法制化も検討されています。自治体のあり方の再編の先には「道州制」がねらわれています。

 いま、こうした地方再編の動きに抗するように、東日本大震災以降の若者世代を中心とした地方への移住志向=「地方回帰」の現象のひろがりに加え、コロナ禍によるテレワークの導入や人の密集を避ける生活で、地方への移住が改めて見直されています。

 日本共産党は、自公政権がすすめる自治体再編による地方切り捨てに反対し、だれもが住み続けることができる真の地域活性化策を全力で応援し、住民が主人公のまちづくりをすすめます。

―――「デジタル改革」での個人情報の利活用のために、自治体での個人情報保護条例による独自の保護規定を認めない個人情報保護法改定による押しつけに反対するとともに、「システムの標準化」に対して、自治体の独自施策を維持・拡充できるものとさせ、独自施策を抑制する自治体負担をなくすことを強くもとめます。

―――国民監視と個人情報の漏洩の恐れのあるマイナンバー制度に反対するとともに、「行政のデジタル化」を口実にした行政窓口の縮小や紙による手続きの廃止に反対し、住民の相談機能としても対面窓口のサービス体制を充実し、手続きの簡素化をすすめます。

―――公共施設等総合管理計画にもとづく統廃合・民間委託や、コンパクトシティ、「連携中枢都市圏構想」などの「地方行革」と地方再編の地方自治体への押しつけに反対し、老朽化が課題となっている公共施設等の維持・管理・更新への対策に必要な財源を保障します。自公政権と財界がねらっている道州制導入と新たな市町村の大再編に断固反対します。

―――東京一極集中の政策を改め、地方移住のU・I・Jターンへ支援を拡充し、若者の「地方回帰」の流れを後押しするとともに、自治体が行う子育て支援、若者の雇用創出や正社員化への後押し、定住促進策への財政支援を大幅に拡充し、地方の交通網を維持・復活します。

―――地方の基幹産業である農林水産業の振興と「6次産業化」(第1次産業から第3次産業までを手掛ける活性化策)への支援、中小企業と小規模事業者の振興、観光産業や地域おこしなどの振興策、住宅や商店のリフォーム助成制度への支援、自然・再生可能エネルギーの地産地消など、地方自治体が取り組む真の地域活性化策を全力で支援します。

―――これらの取り組みを支援するため、「地方創生」関連交付金は、地方自治体の自主性を保障し、すべての自治体を支援する使い勝手の良い制度に改め増額します。

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